Eテレ「オイコノミア〜ウマイ話にだまされない経済学〜」を観て。わかっちゃいるけど・・。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
テーマによって観ているEテレ「オイコノミア」。今回は“ウマイ話にだまされない経済学”。けっして難解な話ではなく、へぇーっ、経済学用語にあてはめるとそうなるのね、と面白かったです。
ちなみに、振り込め詐欺の認知件数と被害額は、
2011年 6,233件 127.2億円
↓
2015年 12,672件 390.5億円 と年々増えているとのこと。
『刑法246条 詐欺罪 人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する』、犯罪ですよね、常識ですか。
さて、今回のゲストはカンニング竹山さん。振り込め詐欺を減らすため本の執筆やPR映像に出演するなど活動中。20万回再生されて話題になった「毎日話せば詐欺は防げる」(2015.12公開政府広報オンライン)の映像が紹介されまして、ショートなのに結構見応えありました。演者が上手いのかな、
“歳とったんかねぇ、あんたが助かれば、と思ったんよ・・”とぽそっと申し訳なさそうにうつむく・・『オレオレ詐欺を防ぐのは、オレだ!』
って、今頃知った私はどうなんでしょうね。
ここから本題。又吉さん主演のショートストーリーで解説。
まず、オイコノミア サスペンス劇場 だましのテクニック①
詐欺 大儲けの話をあなただけに教えます。1分でいいので聞いて下さい。
又吉 ・・1分だけなら、いいか・・。
詐欺 100万円預けて下されば倍にしてさしあげます。
又吉 そんなことあるわけない。
詐欺 信用して下さい、明日は円高になります。
―翌日― 円高になっていた
詐欺 どうです?円高になったでしょ、明日はさらに円高になりますよ、100万円預ける気になりました?
又吉 そんなの偶然でしょ。
―さらに翌日― また当たった
詐欺 またすごいチャンスを逃しましたね、まだ間に合います、信じて下されば大儲けできます。
又吉 そうやって円高、円高と言い続ければ当たることもあるってことでしょ。
詐欺 いいえ、明日は円安になります。実は、とある国際金融機関から情報を手に入れられるんです。世界の金持ちの組織が市場をコントロールしてるんです。それに乗っかれば大儲けできるんです。
―さらにさらに翌日― 本当に円安になってる・・
詐欺 私の言うことが本当だとわかったでしょ、これから言う口座にお金を振り込んで下さい。実は今日が最後のチャンスなんです。
サスペンスでした。あんなに当たったら信じますね。しかし、タネもしかけもあるんですね。例えば、40人に電話をかけて、半分の人に『円高』、残りには『円安』と言い、翌日円高になったら、『円高』と伝えた人にだけ電話・・の繰り返しなんですって。これは皆さんご存知?そっか。
この仕組みがわかっていれば、だまされていることに気づけるのでは、つまり『経済的合理性』ってものが世の中の根底にあるから。
相場を100%予測するなんて不可能、35人に対してはハズしている。
もうひとつポイントとして、
見知らぬ人から“あなたにだけ特別に教える”っておかしいと思いませんか?
↓
なぜ、得する情報をタダで教えるのか?自分だけ儲かればいいじゃん
↓
いい情報をタダで相手がくれる時はおかしい
この『経済的合理性』がわかっていれば詐欺にひっかかりにくいはず、とのこと。要するに“タダより高いものはない”ってことですね。
続いて、心理面から。ここで問題。
さて、宝くじを買うとしたら、あなたはどちらで買いますか?
又吉さんも竹山さんも「A」。私は、普段買わないからなぁ・・並ぶの嫌だから人の少ない「B」かな。先生は、「A」っておかしくないですか?当たる確率と売り場に関係してる?「A」に客が集まるから出やすくなるだけで確率はどこも同じはずですよね、と説明。ならば、先生は買いますか?の問いに「僕は当たると思ってないので買いません、期待値で考えると売る側が儲けて、いろんな公的事業に使ってるわけですから」とバッサリ。
ということは、買う側が損してるってことですよね。すかさず、竹山さん、「先生!間違ってます、買わないと当たらないですから!」って突っ込んでましたが、経済的合理性から考えると買わないのが得と言われて、お二人ともあっけにとられてました。しかし、人間って合理性だけじゃ行動できませんよね。心がありますから。次は、そこを突く事例。
オイコノミア 愛の劇場 だましのテクニック②
彼女 私たちもう会わないほうがいい。父の会社が騙されて、何度もあなたに助けてもらって、もうこれ以上迷惑かけられない。
又吉 30万円位ならなんとかなるよ。
彼女 会社つぶされ、実家もなくなって母も倒れて・・借金は700万円・・。
又吉 それくらいならオイコノミアのギャラをあげてもらえばなんとかなるから。
彼女 私なんかより、他のことに使って。
又吉 お前より大切なものなんてない。
彼女 直樹はいつも私のためを想ってくれる。あなたに会えて良かった。愛してるわ。
―後日―
又吉 おかしいなぁ、携帯はつながらないし、職場にはそんな人いないって言われるし、お父さんの会社もどこにもないし、一体どうなってるんや。
このVTRを観て、竹山さんは「さっきから気づいてたけど、おまえ、本書くの上手いけど、芝居下手だねー」と感心してました。
このような詐欺には大原則があるそうです。
一方が知っていて、一方が知らない、この劇場の場合、又吉さんが相手の言ってることがウソだと知らないってことが大問題。うーん、当たり前のことをこう表現するんですね、経済学。でも、付き合っていたら調べにくいですよね。それに、一度手に入れた彼女とかモノとかは、なかなか手放したくないですよね。それを「損失回避行動」。
又吉さんの行動も、彼女を失った時の苦痛が判断に大きく影響したと考えられる。さらに、一旦手に入れたものの価値が高くなるっていうのが「保有効果」。
彼女の価値が又吉さんの中でどんどん高くなり手放せなくなった。知らない人に700万円もあげない。こんなふうに詐欺って心理的要素を巧みに使って冷静な判断を出来ないようにする。
ここで、もうひとつ重要なポイントがあるとのこと。劇場の中で“何度も助けて貰って”“これ以上迷惑かけられない”とあり、又吉さんが何度もお金を渡していて、それが誤った判断をしてしまうとどめの原因になった。『損切りができない』。株の投資話などでよく耳にしますね。今まで彼女につぎ込んできた10万円、20万円が無駄になる、自分の人生を否定するような気分になる。しかし、経済学では、そんなことをしてはいけない。
サンクコストは気にしない。企業などにもよくある話で、商品開発に投資していたが、他社が先に開発したら、即やめて損切りし、今何をすべきかが重要なのに、サンクコストのことを考え踏ん切れず失敗する経営者は多い。うーん、損切りって難しいですよ。
最後は全く別の話題に飛びまして、食品偽装について。昔、牛肉とか蟹など諸々ありましたよね。騙す業者側が悪いのは当然だが、例えば、牛肉で言うと、いい肉が食べたい!国産がいい!と言うから偽装がうまれる。実際ブランド別に味の違いがわかるのか。何が良くて何がおいしくないのか。ならば、防ぐ方法は?消費者も味がわかるようになること。GAKUTO様になるのは大変です。時間もお金もかかります。では、経済的合理性にのっとって、『味がわかんなかったら、こだわらない』。自分がおいしいと思った好きな肉を相応の値段で食べる。『だます側に動機を与えてはいけない』。ブランドへのこだわりが、ある大きな問題を引き起こす。
どういうことかと言うと、仮に、2,000円〜10,000円までの牛肉を置いてあるお店に「いい肉が食べたい!でもどれ位の値段がいいのかわからない」という人がやって来たとしたら・・
こうして、次々とわからない人が真ん中を選び始めると、どんどん安い肉しか並ばなくなる。これは、経済学的にいうと好ましくない『市場の失敗』という。
2,000円と10,000円の味の違いがわかる人は横においといて、逆淘汰が起こるのは、品質がわからないのにブランドや産地にこだわるからだ。モノの価値をしること。一番良いのは、『消費者が賢くなること』あるいは『こだわらない』。GAKUTO様になるかありのままの自分でこだわらないか・・。以前は、私も、国産で中間位の値段のものを買ってたなぁ、今は牛肉をあんまり食べてないなぁ。
経済学って、何だかクールで敷居が高い感じがしてたんですが、真の在り方は、何が悪いっていうのはとりあえず置いといてなぜこういうことが起こるのかを考えて、じゃあ、起こらないようにするにはどうしたら良いのか、社会全体でだます側を作らないには、を考えるものらしい。『だましても得にならないようにする』って経済学ではよく言うそうですね。
以上のような内容でございました。日常の事象を経済学用語にあてはめて(無理矢理?こじつけ?批判じゃないです)説明されると、なにやら感情の側面が多少取り除かれ、かなり客観的に眺められますね。自分のことじゃないってのが大きいけれど。実際の学問はもっともっと高尚で私凡人には理解不能なのでしょうね。オイコノミア、いつもいろいろ工夫して面白くして下さり有難うございます。
日々感謝です。