今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀〜いつだって、人間は面白い 脚本家・倉本聰〜」を観て①。根っこ・・。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

私は、現在、趣味レベルの演劇活動中でございます。来月の無料公演に向けて週に3〜4日、夕方から練習。丁度、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 脚本家・倉本聰」が放送され、特に大ファンというわけではないのですが、舞台つながりで録画視聴いたしました。

幼き頃「前略おふくろ様」を観たような、観てないような・・、「北の国から」も数回観たような・・程度ですが、大脚本家という認識はございます。詳細は番組HPに掲載されていますので、自分の印象に残ったコトを中心にざっくり備忘録しときましょ。

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倉本聰さん。現在82歳。
39歳のときに、NHK大河ドラマ勝海舟」の脚本家に抜擢されたが、台詞の言い回しを細かく指示することをめぐり制作スタッフと対立、大ゲンカの末、飛行機に飛び乗り行方をくらませた。結局ドラマは降板。そのまま身寄りもない札幌で暮らし始める。

その当時黙って受け入れてくれた人たちがいた。居酒屋で顔見知りになった男たちに、トラック運転手になりたいと言うと、本気で応援しつてを探してくれた。コインランドリーで知り合ったホステスの女性は、油を売ってないで仕事なさいと洗濯物を代わってくれた。何より心に響いたのは、彼らが語る身の上話だった。仲間のホステスの自殺、叶わない恋愛、華やかな東京とは全く違う暮らしかせそこにあった。

間もなく、脚本の仕事を再開したが、東京には戻らなかった。北海道、それも冬は極寒の地と化す富良野に定住を決めた。自然は容赦なく牙を向き、水道管もインクの瓶も凍らせた。生半可な知識など何の役にも立たない富良野で、自分のひ弱さとここに生きる人たちの逞しさを痛感した。

3年目。ドラマの企画を書く。それが「北の国から」。企画書には「自然の片隅に、都会で育った者を放り込んだら、彼らは一体どうするだろうか」と記されていた。そこにはか弱い倉本さんの姿がそのまま投影されていた。

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大雑把な経歴ですが、そんな倉本さんの取材は、去年夏から始まり、その頃、今年春から放送開始の全130話に及ぶ連続ドラマ「やすらぎの郷」に挑んでいた。舞台は、往年の名俳優などデレビ業界人ばかりが集まる老人ホーム。意地と見栄がぶつかり合う。昨今のドラマの在り方に一石を投じたいと、倉本さん自らテレビ局に売り込んだ野心作。

「やっぱり、ドラマって、僕は人の心を洗うべきものだと思ってるんですよね。(今のドラマは)面白いかもしれないけど、感動するものがなくなったという気がしますね。ただ面白く、おかしく笑わしたりということに一生懸命になってる」という。

  

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倉本さんの脚本執筆スタイル。
今回の取材には条件があり、執筆中は絶対に倉本さんの視界に入らないこと。これまで本当の創作現場をカメラにさらしたことはない。カメラは家の外から、書斎の窓越しに映る倉本さんを映す。

この日書き始めたのは朝五時。3時間ほどぶっ続けで書いては休憩や仮眠をとり、また机に向かう。それを一日何度も繰り返す。執筆は、極度の集中を要する。だが、倉本さんは年間365日欠かさず机に向かうことを課している。

「ダンサーやボクサーが一週間、一ヶ月休んだら、どれだけ体力が落ちるか、次に戦う ことができるか。僕が一週間書かないと、次に書く時大変。だから毎日、何かしら書いてないとね。何か書いて筆先が考えるようになって、自分を仕向けて常に保っていかないと衰えてきますからね」

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「自分の能力が超えたものが書けちゃうときがあるんですよ。そういう時は後で吐いちゃう、肩も凝って。ある人に相談したら、当たり前だ、おまえが書いてるんじゃなくて、おまえの後ろに いる何か、サムシンググレートが書かせているんだからって言われた。吐き気については、お香をたけって言われた」

「僕が何かにのられて、自分の力ではなく書けるようになって初めてプロだという風に思ってるけどね」

「技を磨くっていうのは大前提なんだよね。(何かに)おりてこられる条件としては、人間がピュアにならないとおりてこない気がするんだ。そのビュアさは自分で備えないといけない。それがプロだっていう気が僕はしてるのね」

書くことに真摯にピュアであれ・・・それが倉本さんの信念。

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倉本さんの書斎に必ずあるものが『登場人物の履歴書』。登場人物ひとりひとりの人生を掘り下げる作業に執筆前の半年を費やす。例えば、石坂浩二(シナリオライター)の役が、何を書いたか、その作品に誰が出演していたかなど全部わかるようにしている、ドラマには描かれないことまで全て。女性でいえば、いつ処女を失ったかということなども、人生後半に大きく影響すると。ドラマの深さは、ひとりひとりの履歴をどこまで練ったかで決まると言う。倉本さんの生命線でもある。

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「ドラマって、一本の木とすると・・。根っこがしっかりしていないと木は育たないんですね。根っこって何かというと、登場人物たち。みんな、葉っぱの茂り方をどうしようとか、実や花をどうつけようかとか、地面の上のことばかり考えるけど実際にその木が寄って立っている根っこを考えてない、だから僕は半年〜一年かけて最初の根っこを作るところに時間をかける」

ちなみに、「北の国から」で、息子のじゅんが女性を妊娠させ、五郎が相手の両親に謝罪に行った際、たくさんのかぼちゃを渡すシーンがあるが、これも五郎の履歴書がもとになっているらしい。ドラマでは明かされていないが、履歴書には五郎も学生時代に女性を妊娠させたことがあり、そのとき父親がなけなしのかぼちゃを渡して、頭を下げてくれた記憶が五郎の行動につながっているそう。

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倉本さんの脚本家としての仕事。

「へいちゃん(石坂浩二)ね、言葉がリングになってないから、面白味が出てこないんでよね。「バカ、バカ」じゃなくて「バカバカ」なんだよね。また、一言一句って言われそうだけど」

「『ねぇ』って、八千草さんの口癖なんですよね、あれをそのまま出してくれればいいですから」

倉本さんは語尾の上げ下げから、一言一言の間に至るまで役者に意図を伝える。

「完璧主義者っていうことはないけど、自分が書いたことに対して責任負ってるし、その代わりそれを押し付ける義務があるんじゃないか、こういう意図で書いているんだからこういうふうにやって欲しいっていう」

 

去年秋、最後の舞台演出になるであろう「走る」の制作発表をした。90分ひたすら走る。それ以外のしぐさはほぼなく、台詞も走りながら言う。
なぜ人は走るのか、そこから生きることの意味を問う。役者たちが走るマラソンは人生を象徴する。一歩でも他人よりも先に出ようと競うレース。だが、その裏で誰もが想いや葛藤を抱えている。卑怯な思惑、不運が交錯する、それでも走り通さねばならない人生とは何なのか。役者は総勢40名。多くは駆け出しだが、体力には自信があるメンバー。

この「走る」の稽古風景等々は別記事にしましょ。

 

sumikichi52.hatenablog.com

 

すでに公演はスタートしている。なのに、台本はその都度書きかえられているよう。

最後に、倉本さんにとって“プロフェッショナル”とは!

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私は、現在自分が芝居の練習中ということもあり興味津々。“書かされている”という状況に置かれている人、置かれたことがある人、羨ましいなと思ったりしますね、なんだかこの世に存在意義があるみたいで。

また、倉本さんの脚本スタイルを拝見し、自分の芝居の練習で発生するモヤモヤ感が多少払拭された気がします。しかし、私の役名が名もなき「事務員」ということに未だに?の気分ですね。台詞は極端に少ないわけではないですし、特に不満があるわけではありませんが、他にも「婦人」とか「少女」とかもあり、根っこがないんだなと感じます。舞台「走る」と現在の練習状況などについては別記事に綴っておくことにいたします。

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日々感謝です。