今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

NHK「クローズアップ現代+ 〜情熱の炎は消えず 村田諒太・激闘の果てに〜」を観て。自分の可能性を発見?

こんにちわ、SUMIKICHIです。

ボクシングには(も)詳しくない(百田尚樹氏の「ボックス!」を読んだ程度)のですが、WBAボクシングミドル級の世界王座決定戦を闘った村田諒太選手がまさかの判定負け!?というニュースを見て、どういうこと?村田選手の心中は?と興味が湧き、丁度タイミングよくNHK「クローズアップ現代+」で特集されていましたので、印象に残ったことをざっくり備忘録しときましょ。

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番組は、ロングインタビュー形式。

「‘村田、可哀想だ’というのはそうではない。僕にとって、試合前に予想された最悪の結果は、“変な判定”で勝つこと。だから、最悪の結果を招いたわけじゃない」

Q、試合後、どんな思いで過ごしましたか?
「各方面からサポートを受けているので、それに対して恩返しが出来ていないのは非常に残念。悔しさもあるが、それはチーム全体でみた場合。個人的には、もちろん勝ちたかったのはあるけど、“自分の可能性をもっと信じられる試合”だったと思う」

まだ試合を振り返っていない村田選手は、この日初めてビデオを見て振り返る。

【1ラウンド】パンチは3発のみ
作戦。相手の角度を見ることが最重要課題。残り10秒で初めての右ストレート。よし、一発脅してやろうと。

【3ラウンド】笑顔の理由
笑ってますね、このパンチだったら防いじゃうよ、ってプレッシャーかけるために笑ったのかな。

Q、一流選手に向かってあの笑顔っていうのは大胆不敵ですね
一流選手だからこその笑顔、プレッシャーかけて、それが適用してるから楽しい。

【4ラウンド】会心の右ストレート
ワンツーのタイミングで打ってたところ、ワンをはずして、相手より早く入って・・作戦なんて考えられないですよ、“閃き”って言った方がいいかな。僕は今まで、‘カウンター読み切って打つ’と思っていたけど、そうでもないですね、結果として、カウンターになるっていう感じ。

中盤、右ストレートで追いつめる。しかし、なかなか倒せない。

【終盤】
試合中に思ったのは、僕自身、12ラウンド試合したことなくて、11、12ラウンドってボクシングでは“チャンピオンズラウンド”っていって、世界タイトルのみやるラウンド。‘あっ、僕はこのラウンドで闘っているんだ”、この僕が、スタミナを持続して殴り合いを続けるってことが出来るとは思ってなかったし、今やってることに、なんていうんでしょう、楽しかったですね。

結果は判定へ・・まさかの判定負け。

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Q、その時の気持ちはどうでしたか?
自分としては、ダメージを与えたし、いったかなと思ったのが正直なところ。ただ、当事者として闘って、第三者として見てるんで、“いや、俺が勝っただろ!”って感情は、リング上でも、そして今でも一切湧いてきていない。変な判定で憔悴しきっているだろうと想像されていると思いますけど、全くそんなことはないですね。

Q、やり切った感じが大きい?
いや、やり切ったというより、自分自身に対する評価が半信半疑なんですよね。世界の一流選手とボクシングをした際に、どこまで通用するんだろう、というのがあって、で、やってみたら通用するところが多かった。こういう所をもっと改善して行けば、僕自身もっと良くなるんだろうな、って気持ちがあるので、そっちの気持ちの方が強くて、もっと先・・伸びしろのある自分、可能性を発見できたという気持ちが強いから、多分、そういう感情が湧いてこないんだと思います。

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そんな村田選手、プロになって以来、内なる自分との闘いだったと言う。
2013年4月プロ転向の記者会見で「僕がプロに行くってことは、負けることは許されないと思います」と語っていた。

プロデビュー後、村田選手を捉えたのは“恐怖心”だった。2年前、その胸中を明かしていた。「アマチュアの試合の時も、嫌だな、怖いなという瞬間は何回かありましたけど、段違いですよね、そこは」と。ひとつの試合に向けての怖さというのは、ひとつは肉体的な恐怖、プロのパンチの破壊力。プロのグローブは格段に薄く、その衝撃はアマチュアとは比べものにならない。ヘッドギアもなくなり、ラウンド数も最大で12、アマの4倍。一撃でマットに沈められる恐怖と長時間闘わなくてはならないのだ。

さらに、村田選手に圧し掛かったのは、金メダリストとしての重圧だった。負ければ、これまで築き上げてきた名声や信頼を全て失うかもしれない。心理的な恐怖が村田選手のボクシングを委縮させていった。プロ5、6、8戦目、相手をKO出来なくなった。ボクシングスタイルの変化にも如実に表れていた。アマチュア時代の村田選手の持ち味は、“前に出るボクシング”。相手にプレッシャーをかけてくり出す右ストレートが武器。しかし、プロになって多用するようになったのは“左ジャブ”。相手と距離をとるためのパンチ。その割合は、ロンドン五輪決勝時5.3%、プロ8戦目40.9%と格段に増えた。村田選手の所属する事務の代表も心の迷いを感じていた。「今いくべきか、いってパンチを食ってしまって負けたら・・そういう邪念がある。そういう心配が先に立ってるのではないか」と。 

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そんな村田選手の救いとなったのは、父親・誠二さんの存在。きっかけは、デビュー戦の2日前、電話をかけてきた村田選手が涙で声を詰まらせていたという。「ちょっと動揺しましたね、僕が。何か言ってあげたいけど、言葉がみつからなかったですね」と言葉をかける代わりに、息子に贈ったのが哲学や心理学の本。その中にある言葉の数々が、村田選手の乾いた心に沁み込んでいった。気づかされたのは、過去に捉われ、恐怖に支配されていた自らの姿だった。

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Q、恐怖の正体とは?
自分の存在意義が失われること。パンチを受ける、殴り倒される恐怖じゃないんですよね。考えるに、むしろ、幻想。自分が世間でこういうふうに思われているであろう、金メダリストであるから“金メダリストの偶像”を作って、それを失う恐怖。その闘いだったと思う。他人がどう思うとか、そこはコントロールできないところ、じゃあ何がコントロールできるか、ボクシングにおいてコントロールできるのは・・レフェリーやジャッジの判断、観客の感情などはコントロールできない、できるのは自分のプレイしかない。アドラーも言っている。

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ないものをねだっても仕方ない。こういう言葉は助けになってくれる。

Q、試合後、支えとなった言葉は?

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なんでこうなるんだ!って、人生に対して文句を言っても仕方ない。判定おかしいだろ!って言ったとする、それが人生の問いかけに対する答えかというとそうではなくて、人生からの問いかけに最良の答えを探していく、それってポジティブだと思うし、そして、むだにポジティブになりすぎない、現実的な考え方でもありますよね。そういう考え方ができるから、今、続けていられる。本から貰ったものだったり、父からものだったり、父が僕の父でよかったなと。でも、温厚な父が珍しく、なんで諒太の勝ちじゃないんだ!って言ってて、逆に僕が、まあ、そんなこともあるさと初めて父を窘めた。

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Q、試合の翌日、エンダム選手と健闘を讃え合ったとのことですが?
勘違いしてほしくないんですけど、僕は全然良い人じゃないんです。大学時代のデビュー戦で、失格にされて負けたときの自分の行動は、コーナーを蹴って、やってられっか!って出て行った、もとはそんな人間です。そこまで大きく見て欲しくない。

Q、今後について、現役続行ですか?
チームの判断が必要ですが、個人的には、ボクシングに対する情熱は全く冷めることがない、むしろ火に油を注がれた気ではいる。初めてプロとしての仕事ができたかな。

プロって何かと言うと、人に必要とされるかどうかなので、多くの人に面白かったと言って頂いて初めてプロ。

“負けたら引退の可能性もある”と話していた村田選手。ボクシング界の伝説、ボヴ・アラム氏からの言葉を聞いてもらった。

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ますますやめられなくなりますね、素直に嬉しいです、と微笑む村田選手。

ボクシングでは、常に“オープニング”と“エンディング”が隣り合わせ。むしろ負けて気づくことが多い。そこから、どういうアクションをおこしていくかということが大切。ずっと勝ち続けることの魅力よりは、むしろ、ひとつのことにくじけずに立ち上がる方がいい、とボクシング観に変化が。試合前と後では、感性ががらっと変わった。負けたら終わりなんだろう自分は、と思っていたらそうじゃなかったということが、不思議。もうおまえの面倒はみれない、と言われたら、そりゃしようがない。引退については、そうならないことを願うばかり。

インタビュアーは、最後に、“リングの上での村田さんの姿を見たい”って聞いたらどうかと紙に書いていたが、そんな気分じゃなくなって、「これからの村田さんの生き方に注目していきたい」と締めくくった。

誰にも恥じることのない闘いだったと思います、そして、人生においても恥じることのないように生きていきたいなと思います。 (完)

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“内なる自己との闘い”・・私、名もなき一般人のおば様ですが、村田選手の心情をお察しすることができます。と自分では思っております。縛るのも自分の心、前に進むのもそう。一流のアスリートたちは、肉体的な技を磨き続けることもさることながら、メンタルコントロールの管理はそれ以上に重要なんですよね。痛い、これ以上やると生命の危険が・・と、心より脳が先に判断してストップをかけるとかなんとか、生物学的には途中でやめるようなしくみになっていると聞きますが、そうでもない時には、心が先に諦める、自分が自分を諦めるみたいなこと、ありますよね。 

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ボクシング・・脳が揺れても立ち治る練習するとか脳の揺れを防ぐためにガードするとか、なんだか死と隣り合わせのスポーツには入り込めないのですが、村田選手には興味が湧きました。これからも頑張って下さい!って軽く言えない、インタビュアーと同様、勝敗より生き方にそっと注目していきたいなと思います。ん?判定うんぬんかんぬんは・・そこはよしいたします、これからどうするか、ですよね。

それにしても、やはり、○○とぶつかった時は、人は本を読む、ってことなんですよねぇ・・。

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日々感謝です。