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自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

Eテレ「100分de名著 宮沢賢治スペシャル・第1回〜自然からもらってきた物語」を観て。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

すっかりレギュラー視聴するようになったEテレ「100分de名著」。今月は、「銀河鉄道の夜」「春と修羅」などの作品で今も多くの人に愛される宮沢賢治スペシャル。代表作を絞るのも難しいほど多面的な作品群に4つのテーマから光を当て、宮沢賢治の奥深い世界に迫る、という内容のようです。

最近よくTVやネットでお名前を目にしますが、お恥ずかしながら個人的には「注文の多い料理店」を幼い頃読んだだけでしょうか。近いうち「銀河鉄道の夜」をしっかり読んでみたいと思っていましたので、丁度タイミング良かったと喜んでおります。ざっくり備忘録しときましょ。 

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まず、宮沢賢治さんの経歴紹介。
  明治29年岩手県花巻に生まれる
  中学生の頃から短歌作りを始める
  岩手で土壌研究員、農学校教師、農業技師などをしながら詩、童話を書く
  昭和8年 肺炎により死去(37歳)

生前はほぼ無名。童話で原稿料が出たのは一作だけ。当時のお金で5円(4,500円)。没後作品が発掘され有名になる。

今回の指南役は、日本大学芸術学部教授の山下聖美さん。ゼミの学生と作品が生まれた花巻をたびたび訪れ、新世代ならではの視点で宮沢賢治の実像に迫る研究者。

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現在復刻版は2冊。本物は買うと200万は下らないとか。生前は一般には理解されにくい内容のため売れず、古本・古書市場で極めて安い価格で売られる“ゾッキ本”扱いだった。しかし、賢治は、家がお金持ちだったので物書きで食べていくつもりはなたったよう。

しかし、一部の人には、東北岩手にすごく変わった詩人がいると知られており、特に草野心平中原中也などは賢治の本に大きな衝撃を受けていた。
草野心平が賢治についてある言葉を残している。

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日本の近代文学史には、東大出身など頭の良い作家、夏目漱石森鴎外などがいるが、秀才には違いないであろう賢治は、そういうのを超越した特別な感性を持った存在だったのでは、と山下先生は言う。

 

特異な感性はどうやって育まれたのか?ある物語の序文にそれをあらわすところがある。

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伊集院さんは、序文を読んだだけでなぜか、評価しづらいのがわかる気がすると感想を話す。

出版当時、花巻の農学校の教師をしていた賢治は、岩手の山野を歩き回るのが日課だった。植物や動物、土、風、雨、雪・・岩手の豊かな自然からエネルギーをキャッチしてただ書く、書かされているだけだと、しつこく賢治は言っていたそう。賢治の創作方法は一風変わっていて、手帳やペンなどを首からぶらさげて外に飛び出していた。内から湧き上がってくるのではなく、降りてきたものを書く。

 

ところで、最近では、“共感覚”というキーワードで賢治の特殊な感性にアプローチしていく研究がされている。“共感覚”とは、一つの刺激に対して二つ以上の感覚(五感)が反応してしまうことをいう。色やカタチを目で見て、色が聴こえたとか色が匂うとか。誰で三歳頃までは持っていたとか。芸術家はそういう感性を利用して作品を残している。

伊集院さんは、“共感覚”のない自分でも、むかし‘風を食べよう’と思ってたし、どきどきする、俺は何か大切なものを失くしたってことに気づかされる、と話す。

 

そんな賢治の感性を存分に味わえるのが「イーハトーボ農学校の春」

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文章が始まったかと思いきや、段落と段落の間に楽譜が入って(写真中の♪部分は実は楽譜)いたりする。これは、当時の人たちが戸惑うのもわかる、掟やぶり、果たして詩なのか、文学なのか、こういうふうに頭の中で鳴ったのを報告したいってことですかね、と伊集院さんはあ然とする。

山下先生は、賢治の感性では、春の太陽の光が音として感じられている、ジャンルとかを越えていく、絵も描くし、曲も作る、全てふくめて文学に昇華していくのが賢治の特徴、ストーリーやオチは関係なく、だからどうした、どこで感動したらいいの?なんなんだって時に、それを理解しようとするのではなく感じるだけ、そんな読み方をしよう、と解説。

さらに、賢治は、もともと理系の人で、熱心な法華経の信仰者なので、“光炎菩薩”などの仏教用語やコロナなど科学用語を包括して芸術を作り出している。

 

さて、他にも特徴がある。「風」が童話に吹く。

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賢治の場合、「風」が吹くと異界が現れ、あやしい世界が動いて行く。「注文の多い料理店」でも、風が吹くとあやしい店が出てくる。風というのは何か得体のしれない息吹、命として賢治がキャッチしていたのではないかと山下先生は分析する。

伊集院さんは、‘風向きが変わった’という言葉もあり、説得力あると話す。

私たちが発する言葉も、まず息を吐く。物語の中で、吹いていた風が人間の言葉に聞こえてそれを記録したと出ていたが、言葉と風のつながりも描いていたのかもしれない。

 

最後に、山下先生は賢治の魅力を以下のように話す。
注文の多い料理店」で、“山がすごいから”山猫が泡を吹いて倒れて、その後また復活して・・まぁ、童話だからと読み過ごすよりも、“山がものすごい”ってなに?って、いちいち立ち止まると、ものすごいものが見えてくる、自分のわからなさを解釈したくてたまらないって欲求を持つ方が多い。

伊集院さん、考える楽しさがよくわかりました、先生がこのなぞにハマっていくのも、とひとこと。                

続く・・。

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今回は、朗読の尺が長かったように思います。たしかに、物語(賢治)の特異性を端的に抜粋するのは至難の業ですね。私もかなり大雑把に抜粋してしまいまして、なんのこっちゃか不明状態。まぁ、個人の備忘録なんでお許しを。

ここまで深く存じ上げていない宮沢賢治さん。よく演劇の台本に用いられていますよね。これまで、なぜなんでしょう?と不思議でしたが、最近ほんの少しわかり始めてたところで、シリーズ全編観たらもっとはっきり見えてくるのかしら。声に出して読むと不思議な世界がひろがりますよね、たしかに、言われてみれば。

だいぶ前ですが、オリラジ・中田さんが民放TV番組で「銀河鉄道の夜」の解説をしてまして、ちょっと感動といいますか、興味津々で図書館に予約したような気がします。ん?その本、どうなってるんでしょ?

また、少し前にこの番組で勉強した中原中也さんが賢治さんに衝撃を受けたというのを知り、つながってる感半端ないです。どうりでって感じ。物知りでしょ、私って気はさらさらないのですが、少しずーついろんな事柄がつながり、積み重ねる行為の尊さを噛みしめております。全く社会貢献してませんけどね。

日々感謝です。