今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

NHK「フェイス〜さびない鍬でありたい 97歳 おひとりさまを生きる~」を観て。ひとりだけど、ひとりぼっちじゃない・・。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

たまに観ているNHK「フェイス」。先日、目に留まりましたテーマは〜さびない鍬でありたい ・97歳 おひとりさまを生きる~。広島県尾道市で、97歳・おひとりさまながら豊かに、楽しく生きる女性のさびない人間になるために必要な目からウロコの人生訓に迫る、という内容。

“おひとりさま”に敏感な私、そして、年に一〜二度ですけど訪れる尾道市、ざっくり備忘録しときましょ。

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尾道市の中心から車で15分の山間にある小さな集落、美ノ郷町中野地区。ここに暮らす350人のうち4割は、65歳以上の高齢者。この地区の最高齢石井哲代さん・97歳。今回の主人公。14年前に夫を亡くして以来、田舎の大きな家にひとりで住んでいる。
朝6時起床、自分の畑で採れた野菜をたっぷり使って、いりこからだしをとりお味噌汁を作る。最後に庭で飼っている鶏・コッコちゃんが産んだ卵を入れる。まだ温かい。

 「これがあるから朝も早よ起きにゃいけん。餌やらにゃいけん。
  嬉しいですねぇ」

これが元気の源、自分で育てたものを有難く頂く哲代さんの一日の始まり。

 「これこそ生きてる実感なんですかねぇ、こういうことができるゆーんわね」

 

哲代さんは、大正9年生まれ。子どもが大好きで、20歳の頃、小学校の先生になった。戦中・戦後の大変な時代、熱血教師として奮闘していたそう。そんな子ども好き哲代さんは、毎朝7時20分に家の前を通って登校する小学生たちを見送る。

 

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哲代さんの暮らし方には独特の流儀がある。家の中は段差がいっぱい。

 「バリアフリーは人間をダメにする。
 (家の中の)段差も障害物も自分を鍛えてくれるもの」

 「マイナスは長所、しみじみ、この頃は思います。
  ひとり暮らしはマイナスだけども、マイナスであるがゆえに、
  一生懸命自分で生きていくから、こうして元気でおれるんだと思います」

 「ひとり暮らしじゃゆーて、下向いて縮こまってるんじゃなくて、
  ひとり暮らしをどのように楽しむかゆーことで。
  今ひとり暮らしが多い世の中でみんなに言いたいですね」

  

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日課は畑仕事。家の前の坂道は、うしろ向きで下って行く。油断しないから転びにくいんだとか。相棒の鍬を手に自分の畑へ。鍬一本で、自分が食べる分だけ野菜を育てる。40年使い続けている鍬が哲代さんの宝物。この鍬のようにいつまでも現役でいたい。それが哲代さんのモットー。

 「人間、横着を考え出したらね、錆がいく。人間、錆びたらダメですね。
  これ(鍬)だって錆びたら使い物にならん、
  錆が来んように使いよらにゃいけん。
  楽な方に、楽な方に行くのは錆のもと」

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この日、哲代さんはちょっぴりおめかししてお出かけ、嬉しそう。週に一度、近所の人達と音楽や体操を楽しむ‘仲良しクラブ’へ。立ち上げたのは哲代さん。まずは、哲代さんが作ったふるさとの歌を合唱。

    ♪ 備後尾道 中野へ寄って
       (ふるさとの暮らしを)持って 持って
            行きたや 行きたや あの世まで〜

そして、黒板を使って漢字クイズ。この日は、‘は’から始まる漢字をみんなで出し合う。これも教師だった哲代さんが考案した脳トレーニング。頭を使い続ければ錆びつかない。それを楽しみながらみんなでやるのが哲代さん流。メンバーのほとんどがひとり暮らし。最年長の哲代さんは、みんなの相談役。

仲間女性「だんだん耳が聞こえんのが進みよる気がする。
     あんまりしゃべりたくない気もするし・・」
哲代さん「そうかぁ、でもな、みんなの行く道じゃけぇな、
     少々聞こえんでもせわないけぇな、じゃけ、元気出しましょうよ」

97歳の石井先生の元気をもらう90歳のおばあちゃん。

      

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夕食前、薪をくべ、お風呂を沸かすひと時がホッとできる時間。

 「火を見るんがいいですねぇ。心も温まる。薪が自分を焼いて、
  人のために湯を沸かしてくれとるんですけぇね、
  こういう人間になりたいです。」

               

哲代さんの人生で一番辛かった坂道は・・それは、80歳を過ぎた頃にやってきた。
50年間ずっと一緒だった最愛の夫・良英さん(享年81歳)を脳梗塞で亡くしたこと。子どもがなかった哲代さんはひとりになった。

 「なんにもできんと思った。
  まわりの人がボケるんじゃないか思うたって心配してくれた」

坂道を一歩いっぽ歩んで14年。哲代さんは、今でも月に一度、良英さんに会いに行く。花をたむけ、日々の出来事を報告する。子どもを授からなかったことを気にしていた哲代さんを、良英さんは優しく支えてくれた。

 「歴史のある家、その家に対して本当に申し訳がない。
  それを、おまえひとりが責任を負うことはいらんけんって・・
  それにしても申し訳ない」

自分を守ってくれた良英さんが亡くなったとき、哲代さんは決めた。

 「預けられたこの家を、田地を、私がどこまでやれるかわからんけど
  やっぱり守りたい。どこで切れるかもわからんけども、
  私が出来るかぎりはせにゃならんという気がするんです」

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一日の終わり、哲代さんは欠かさず日記を書く。良英さんが書いてきたもの。

 「自分が幸せに感じたいようなことをね、書いておく。
  そしたら、楽しい。そうそう、あんなことがあったなぁって」

 

良英さんが亡くなってから、軒先の冷蔵庫に不思議なことが起こるようになった。開けると、自分で入れた記憶のないいろんな物が入っている。カメラを置いてみると、地域の人たちがひとりになった哲代さんを気遣って、代わる代わる差し入れをしていた。
丁度差し入れしていたのは、近所の加美さん。10年前に夫を亡くして現在ひとり暮らし。塞ぎ込んでいた加美さんを励ましたのが哲代さん。今では20歳下の親友。

 「主人が亡くなって食べれん、寝れんかった。
  仲良しクラブに誘ってもらって、食べれるようになった。
 (哲代さんは)素朴で、誰にでも合わしてですしね」

 

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一年で一番大切な日、田植えの日。良英さんから受け継いだ田んぼを守っていきたい、でも、自分ひとりではどうしようもない。助けてくれたのが地域の人。会社勤めが終わったからと4年前から田植えをしてくれる。今年も無事に植えることが出来た。お互いが出来るときに、出来ることを。そんな支え合いの中で哲代さんは生きている。

 「夕方とかは寂しいですけど、これも運命じゃ思うて、ひとりでいることに
  慣れるようにしとりますね。人から見たら苦しそうかもしれんけど、
  見方を変えたら楽しみになる」

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今日も相棒の鍬を振る。春に植えたじゃがいもの収穫を喜べる瞬間。

 「みなさんも是非やっちゃったらいいですよ、ホントに」

ひとりだけど、ひとりぼっちじゃない・・・・。   (完)

    

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97歳でひとり暮らし。どんなに心細くて寂しいのかなと思いきや、そんな状況に ‘運命だと思って・・慣れなきゃいかん・・見方を変えると楽しい・・錆びてはいかん・・’と、まあ、お元気でいらっしゃり、こちらまで口元がほころんでしまいました。“仲良しクラブ”かぁ・・私が現在、Vocal Lessonに通ったり、演劇活動に参加させて貰ったり、朗読勉強会に入ったり、とどこに向かってるのか不明ではありますが、きっと、近い将来、私の、そして数少ない仲間たちの老後人生を彩ってくれるのかもしれないなと、ふと思いました。冷蔵庫にこっそり、色々入れて貰えるような、可愛い、そして、密かに誰かを励ませるおばあちゃんになりたいな。ということは、ひとりが好きなの!ひとりで頑張る!病の今の自分では、冷蔵庫に何か入れて貰うどころか、‘仲良しクラブ ’にも入れそうにないな。

ひとりでは生きられない・・・ですよね、ホントに。

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日々感謝です。