今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

TV番組「サワコの朝〜ダンサー・田中泯〜」を観て。俺、道なんかいらない・・。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

たまに観ている「サワコの朝」。8月26日のゲストは、ダンサー・田中泯さん。
今では圧倒的な存在感で、話題の映画やドラマで大活躍。しかし、そのデビューはなんと、57歳。“俳優”という新しいチャレンジを決意した理由やその後の活躍に迫る、といった内容。

私、ブログ上でたまに、田中さんのお名前を出したりしております。NHKドラマ「ハゲタカ」で初めて拝見し、とても惹きつけられた俳優さんだと。今回、素の田中さんを拝見できてラッキーでございました。ざっくり備忘録しときましょ。

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田中泯さん。
1945年生まれ、72歳。東京出身。57歳(2002年)のとき、山田洋次監督に見出され、映画「たそがれ清兵衛」で映画デビュー。いきなり日本アカデミー賞最優秀助演男優賞と新人賞をW受賞。NHK大河ドラマ龍馬伝」(2010年)、NHKテレビ小説「まれ」(2015年)などに出演し、鋭い光を放つ、孤高の存在として注目を集めている。

しかし、田中さんの本業は、俳優ではなくダンサー。72歳の今も現役。日本はもとより、世界各地で活躍、これまで50ヶ国以上から招待され踊りを披露、高い評価を受けてきた。その踊りは一般的な踊りの概念からかけ離れたまったく独自のもの。衣裳も音楽も劇場も必要とせず、感じるままに身体を動かす。田んぼの中で踊ったりすることもある。

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Q、57歳で初めて映画の役を引き受けたのは?

・・‘踊り’と‘演じる’の境目みたいなものは、一体どの辺にあるのかってことは、ずっと興味を持っていた。ただ、僕は、言葉が苦手なものですから、演技っていっても台詞なんかしゃべれるわけないじゃない、と思って。けれど、山田監督からお話があって・・真田広之さんのことも知らなくて、ビデオで一生懸命勉強して、実際にお会いしたら、あっ、真田さんだ!ってなって・・。自分の撮影はないんだけど、早くから京都に行って真田さんの撮影を待って、練習したりとか。その役者の経験は、その後踊りをずっと続ける上では、ものすごくいっぱいヒントがあった。

 

Q、その後次々とオファーが来るようになられて・・

・・朝ドラ「まれ」の塩まき職人の役は・・モデルの人は、戦時中あいつだけは戦争に行かせちゃいけない、あいつだけが塩まきの技術をつたえることができるんだって、みんなが陳情に行った、それで生き残った人、で、戦後一心不乱に技術を伝えたらしい。そして、その息子さんに会って、塩まきを習えるんだったらやります!って決め方をした。そういう人たちの凄さを身に染みて感じた。

僕は何でも出来るわけじゃないっていうのがわかって、役を引き受ける基準は・・単純に言えば、別の偶然でもし自分が生きていたら、こういう人になっていたかもしれないな、という人をやっている。これとは関係ないよって役は出来ないと思う。申し訳ないけど、本を読ませてもらって、こう言ってるのはわかる、と納得できる人しか。本当に不器用ですから。

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Q、今“場踊り”を始めてらっしゃるとか・・

田中さんが編み出した“場踊り”とは、その場で感じた空気や歴史を、思うがままに表現する踊り。インドネシアの島々では、通りすがりの人と即興で踊ったり、水牛を相手に踊った事も。舞台を選ばず、その場で感じた自然の息吹や空気の流れを体内に吸収し、一気に放射して行くのがこの“場踊り”。

・・最初どうしよう・・と思いながら行って、周囲は霧がたえず動きまくってますから、その中で、自分のことなんて関係ないんですよ、自由にその中で生きていくという。踊りを踊るときは、普段の自分とは全く違う。熱中してるなんてもんじゃない、もっと熱中してる。あえて言わせてもらえれば、僕にとっては、もっと生きるという感覚に近い、あーっ、踊りやってるー!みたいな。

 

Q、踊りの原点は?

・・中学を卒業するまでは、小さくて、なんの自信もない。僕はみんなのことを覚えているけれど、みんなは僕のことを覚えてないくらい存在感が薄くて、かなりいじめられたりした。仲間と遊ばない子だった。一人で野山に潜り込んで行った。その過程で、盆踊りで大人の輪の中に逃げ込むように入って行った。救いの場所だった。隠れるように踊っていたというのが正解かな。その時は夢中だった。そのあとで、踊りって芸術があると。大学生のとき、町の舞踊団に内弟子として家の掃除なんかしながら、クラシックバレエやダンスを習っていた。

そして、踊りって一体どこからやってきたのかが興味の対象になっていった。そもそも、文字文化を持たない人たちの踊りは本当に凄い。文字を持ってからの踊りって、どっかで文字の翻訳のような踊りになっていく。言葉が先にあって、ふりつける。
あなたの感情、言葉以前のことを表現すればいいのよって教わる。はてぇーっ、そんなの俺にあるかなぁー、どこに?って思っちゃう。奥深くって、どこ?みたいに、ホントに思いました。それって先生、言葉じゃないですか!って。

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本当に必要なコミュニケーションのひとつとして踊りは絶対にあったと思う。美味しいものを食べて、美味しい!と言う代わりに震えたりする、でたらめですよね、それってほとんど踊りって言っていいような意味のないこと、それだけとれば。美味しいものを食べて幸せっていう、みんなが共同の体験をしているから、全く抽象的なことをやっても、きっと美味しいんだと思えるわけですよ。踊りって、共同の場に起きていることを伝えていく大事な役割りがあったと僕は思う。

1978年、フランス。踊りをやっていこうと思ったときに、言葉に走らずに、むしろ、言葉をはねのける“裸体”を選んだ。身体の中に踊りの全部が備わっていると思った。例えば、何にもしてなくても‘暗いね、今日は’って言われたりする。後姿からでも見破られたりする。踊りの動きを追求する前に、私の身体の中で本当に感じることを、もっとキャッチしたい、服を着る意味、音楽をかけて踊る意味、客席を準備してお客様をお呼びして踊る意味、何にもわかんなくなっちゃって、必要ないんじゃないか、まずそこから始めよう、と。

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Q、土方巽(ひじかたたつみ 身体表現の新たな概念を提示し「舞踏」という表現形式を確立した)はご存知でした?

・・存在は知ってた。裸で踊り始めた頃に吸い寄せられて・・この人になろうというより、この人からは遠くに行って自分を磨くしか方法はないなと、全部呑み込まれちゃうと思った。

喜び、悲しみ、怒りとか、言葉でレベルを決めるのが好きじゃない。嬉しいことと悲しいことの間はずっとつながっていて、混ざっている方が好き。ダンスピジネスに乗ってやってるのはほんの一部。ここで、ギャラいくら、とか関係ない、ここで踊りたいから踊る。田んぼで踊ることがある。たまたまそこに居る人が観てくれてもいいし、うるさいって声をかけて下さっても結構だし、たいがいそこに住んでいる人は気になるので、不思議と観て下さる。終わって気づくと、周辺にいっぱいの人が、だまーって観てる。やったぁーと思う。最高の褒め言葉は、‘元気になる’。そう言われたら本当に嬉しい。正直、金より俺の方が偉いです。ハハッ。

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《 今 心に響く曲 》

“裸体”の頃から井上陽水さんが好き。陽水さんの曲で踊りたいってプロポーズしたら断わられた。

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怒りと喜びの間はずっとつながってるって言いましたが、彼の歌はまさにそういうことなんですよね。ひとことで表現できることがあるか!って言ってるような気がしてしょうがない。ひとつの何かを欲しくて僕は生きてるんじゃないんです。あらゆる感情を知りたいんです。

今、72歳、年上の人達がね、歳取るとねぇ、人生はねぇ、って言うんですよ、頭にきますよ、俺、知らないんだから、まだやってないんだよー。明日何が起きるかドキドキしてんだから。政治家のポスターに‘自分の道を行く’なんて書いてあったけど、冗談じゃないよ、俺、道なんかいらないよ、この道を行こう!なんてね、あら、怒りの感情が増えてきちゃった、この辺で。        (完)

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ご本人は言葉が苦手だとおっしゃっていましたが、独自の見解を誠実に語ろうとされていて素敵だなと思いました。モノクロの風景中、空気に溶け込んで踊る姿、いいですねぇ。赤がお似合いになりますね。お近づきになってお話したいというより、離れたところで遠くから、パフォーマンスをじーっと拝見させて頂くだけで満足です!という感じです。語らずとも表現出来る方、といいますか、そういう世界を選んだ方々を本当に羨ましく思います。もう一度、「ハゲタカ」を観たくなりました。居候Kくんにも薦めてるんですけど興味なさそう。

ふと、私、男性に生まれ変われるなら、こんな方になりたいのかもしれない・・・。衣裳も、音楽も、舞台も、観客も、何も無くても踊りたい場所でただ踊る・・。

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日々感謝です。