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自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

Eテレ「オイコノミア〜実は“優しい!?市場”の力とは〜」を観て。きっかけはウ○コ!?

こんにちわ、SUMIKICHIです。

レギュラー視聴しているEテレ「オイコノミア」。今回のテーマは〜実は“優しい!?市場”の力とは〜。ざっくり備忘録しときましょ。

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まず、東京・表参道のオシャレな美術展での風景から。個性的な絵画が展示販売されていて、一枚25万円、60万円の表示の横には売約済みシールが貼られている。又吉さんは、3点セットの細密画のような絵を見つめ、なんか惹かれる、わけわからんけど、とぽつり。実は会場の作品は、全国各地でアーティストとして活躍している、知的障害のある方々の選りすぐりのもの。

東京大学の松井彰彦教授は、市場というのは弱肉強食の血も涙もないところだと思われがちだが、一定のルールのもとでいろんな人に開かれた優しい場所かなと自分は考えるという。そして、商品に限らず、人と人が出会う場と捉えられると。

例えば、冒頭の続きで、美大を出て、先生にすごく気に入られた新人アーティストでも、福祉施設でずっと暮らしていた障害者のアートでも、市場では、場合によっては同じように評価(値段設定とか)されていく。そのあたりが市場の重要な性質で、よく“市場の匿名性”と言われるが、みんな名前を最初は知らない、だからこそ平等にできる。

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美術の世界で言えば、その人のバックボーンがどうであろうと作品の良し悪ししか問われない、“市場の匿名性”は売り手だけでなく、買い手にとっても大きな意味を持つ。自分は美術に詳しくないからなぁとか考える必要はない、好きだから、欲しいから買う、以上、マル、でいい。この作品を描いた画家を支援したい、アートそのものを純粋に愛でる、投資目的、いろんな人々の想いが集まる場所。

売り手が、こいつとは取引したくないと言えばしなくて良いのも市場のポイント。両者が取引することで、お互いハッピーになるのが市場の基本的なポイント。

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続いて・・
ニューヨークのアート市場は、日本の匿名性が際立ったところ。そこで高い評価を得ているアーティスト集団がいる。大阪の社会福祉法人・アトリエ インカーダ。知的障害のあるアーティスト26人が所属し、介護が必要とされた人々が日々作品を生み出している。使う画材は一級品、創作はアーティストの自由に委ねている。支えるスタッフは美大出身者が多い。

理事長の今中さんは、2004年からニューヨークのアート市場に作品を売り込んできた。日本では評価が無かった、当時は障害者アートとかいきいきアートとか言われて、僕らにはそんな考えはなくて作品として重視してほしかった、と話す。

市場で作品が売れたら、必要経費を除きそのほとんどを本人に還元。自分の好きなことで評価されると自信になる。もちろん市場では、売れる作家と売れない作家が出てくる。例えば、ある作家は去年年間で1,000万円を超える収入があったが、全く売れない作家もいた。

そこで、インカーダでは、所属アーティストの作品を描いたグッズを販売し、その売上げを全員で均等割りで分配している。今中さんは、差が生まれることは仕方ないと100%肯定することはできない、アートというのは好みもあるし、見る人が違えば変わる、違う国に行けばいい、そういう市場に展開していくことで、今、日の当たっていない人に日が当たると思っている、と語る。

又吉さんは、ニューヨークって凄いんですね、自分の目で、作品だけを見て判断するってことですよね、僕なんか、例えば芸人で云うと、誰の弟子とかどこで何年学んだとかを、ちょっと頭の片隅に入れたくなる、て言う。今中さんによると、日本では、その人の属性(障害の程度とか)を必ず聞くらしい。

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また、市場にはこれまでにはない新しいものを生み出す力もある。今、美術の世界では、新しい鑑賞スタイルが次々と生まれている。
新幹線の車内で現代美術を楽しもうと企画された走る美術館、家族(子ども)と一緒に美術館デビューしよう「おやこでトーク」、豪華な衣装を身に纏ってお姫様・王子様ナイト「マリー・アントワネット展」、その他いろいろ。

その中のひとつを又吉さんたちは体験。
東京国立近代美術館で行われている視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ。見える人が一方的に説明するのではなく、対話によって鑑賞を深めようとするもの。この日、かつては視力があったが今は見えない人とスタッフとで鑑賞してみる。奈良美智さんの「Harwiless kitty」を見て(写真がなくてすみません)、見える人は、各自のイメージを伝える。すると見えない方から意外な問いかけが。“もし、音が聴こえてるとしたらどんな感じ?”と。まさかの問いかけに各自イメージを膨らませると、どんどんその絵の世界が広がり、この後20〜30分、ひとりでも佇んていてもイメージの中に入られるとのこと。

このスタイルは、この日参加した見えない人が、美術展で友人とやりとりした会話が面白くて思いついたものらしい。すでに、全国34ヶ所の美術館で100以上行われた実績がある。

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話変わって、市場で様々な人と出会い、その力をまさに今、実感している人がいる。中西敦士さん。今年度実用化にこぎつけた機器『排泄予知デバイス』のアイデアを考案。尿の出るタイミングを事前に知らせてくれる。超音波のセンサーが入った機器をおへその下あたりに装着して、膀胱の大きさの変化を捉えて、そのデータが無線でコンピューターの画面に表示される、波形の変化で尿の溜まり具合がわかるシステム。

この機器、介護市場で大きな注目を浴びている。現場で使ってみたところ、自分でトイレに行けない人や介護スタッフに大評判なのだ。

中西さんがこれを開発しようと思ったのは・・・
企業家を目指して2013年にアメリカ・シリコンバレーに留学した際、前日に食べたものがあたったのか路上でウンコを漏らしてしまって、あまりの衝撃にしばらく引籠ってしまった、この文明社会においてなぜ人類は未だにウンコをするのだ、この世からウンコがなくなればいい、なくすにはどうしたらいいかと真剣に考えたが無理だとわかり、それならせめて、予測ができれば漏らさずにトイレに行ける、じゃあ、まずタイミングを予測する機器を開発しよう!という思考の流れだったよう。(笑える)

その時作った会社の資本金は1万円。
そして、2014年、企業家支援の海外市場に参加し、超音波を使って排便のタイミングを計るという、自分の商品アイデアをプレゼン。反応は、聞いた事ないけど面白い、ただ出来るのか、人体への影響はないのかなどを聞かれた。

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市場は、商品がなくてもアイデアに反応する。将来への期待(エクスペクテーション)で動く。コンセプトを説明したら応援してくれる人がいるというのはまさしく市場。

中西さんのアイデアに投資家の市場が大きく反応。東京・丸の内のベンチャーキャピタルが5,000万円の投資をした。決め手は2点。

・中西さんたちがビジネスとして解決しようとしている課題が深刻がどうか。
   ‘must have’なのか(なくてはならないもの)
   ‘nice to have’なのか(あったら良いもの)
 排泄の課題には、深刻な悩みなのに解決方法がなかった。

ベンチャーの場合、商品がない、会社の信用ない、何もない状態で事業推進
 していかなくてはならないので、“巻き込む力”があるかどうか。

投資家たちは、市場に参加した中西さんの“人間力”を見ていた。中西さんが集めた技術スタッフには優秀な人材が多く集まっていた。給料が出ないにもかかわらず、中西さんのアイデアにのめり込んでいた。「シンプルに面白かったから、面白いこと言うなコイツっていうのが第一印象、シリコンバレーの連中って新しく社会を変えよう、社会を進めようというそのモチベーションだけで自分の身銭も切るし、労力も使うし、その人自身に魅力がなかったら誰もついて行かない」とスタッフのひとりは言う。

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 さらに、今年3月、東京・有明で開催された世界の投資家が集まるイベントに参加し、資金集めに奔走。松井教授は、こういったものは、計画的にやるっていうよりは、人と人との出会いがしらのこと、セレンディピティ(偶然の幸運な出会い)といった方が正しいのかもと言う。

 

中西さんは、クラウドファンディングの市場でも協力を呼びかけた。すると、商品を求める人の声が想像を超えて集まってきた。2015年4月には三ケ月ほどで開発費1,200万円に対して1,500万円、345人から。介護施設の方々から、今すぐ欲しいとあり、実際施設に行って初めて、排泄ケアは大変で、大事なことだと知るきっかけになったそう。ネットで海外30ヶ国以上からも連日コメントが寄せられている。世界中の共通の課題。どんどん市場が出来ているのを実感。

‘ほしい!’というのが市場だとすると、これまでなかったものに、あっ、実はここに市場があったんだということがある。既存の市場に入り、他からのシェアを奪うのではなく、無かったものを作り出し、無かったつながりができていく、そういう市場のダイナミズムを感じる、と松井教授は言う。

現在8億5,000万円の資金が集まっている。3年半でここまで来ている。新しいものが出てくるのが市場の力、市場は人と人のつながりの場、アイデアと人柄で集まってきた。中西さんは、ほんとにウンコ漏らしただけなのに、と言って笑う。

但し、市場は厳しい。3Dプリンターで服を作るという会社は去年で倒産。いくら投資家に評価されても、市場に受け入れられなかった。期待値が大きくても、
実際開発していると期待とズレていくこともある。

最後に、又吉さんの経済ポエム・・・
              トラブルが生む
              市場が生む           (完)

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今回も知らない事象が色々ございました。現在そして未来にも、私が売り手として市場に参加することはないと断言できますが、それでも、もう30歳若かったら、閃くことがあったら、人間力があったら、もしかしたらプレゼン側で市場に参加できてたのかもなぁ、そんなことができる時代なんだなぁ、とつらつら想いました。まあ、この、あと○○歳若かったら、とか、もし○○だったら、なんていうのは、‘無い’んですけれどね。

素晴らしい商品、素晴らしいアイデアといいましても、結局は‘人間力’なんですね。そして、何が発端になるかわからない、人が人と出会ってなければ宝の持ち腐れのまま、私利私欲では出会えない。中西さんの面白さは、素直さ、正直さから生まれてる感じがします。

それと、印象的でしたのが、市場というテーマに全く関係ないのでしょうが、見えない方との美術鑑賞ですね。絵からどんな“音”が、かぁ。たしかに、雪景色の風景画を観ましたら、ありきたりですが、‘しんしん’とか‘ひやー(これはないか)’とか?また、絵を詳細に説明して相手の想像する楽しみを奪ってしまってもいけませんし、かといって、丸い感じ、のひとことで相手の想像力に丸投げっていうのもどうかと思いますし。で、“音は?”と聞かれて、自分の予期しない問いかけに遭遇しますと、一瞬脳内に刺激が走り、活性化しますよね。そして、ぼわん、ぼわん、と余韻が漂いますね。おまえ、何言ってんだ、ヘンなこと言うな!って頭から拒否すると、その可能性を潰してしまいますね。そうではない人たちの優しい市場のお話しでございました。

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日々感謝です。