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自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

Eテレ「100分de名著 三国志・陳寿 第4回〜劉備の「仁」、孔明の「智」〜」を観て。ちょっぴり涙する・・。

こんにちわ、SUMIKICHIです。
すっかりレギュラー視聴するようになったEテレ「100分de名著」。今月は、正史「三国志」。小説、漫画、アニメ、人形劇、ゲーム、そして映画と、1800年前の中国激動の歴史を描いた三国志は、世界中の人々を魅了してきた一大スペクタクル。この物語は「三国志演義」。しかし、実は、小説のもとになった歴史書がある。それが正史「三国志」、今月の名著。

お恥ずかしながら、私、中国の歴史は教科書レベルですし、映画「レッドクリフ」は観たことあるけれど程度で、‘正史’は存じ上げませんでしたので、ざっくり備忘録しときましょ。

第4回は、劉備の「仁」、孔明の「智」に、組織が生き残る上で欠かせない人間力を読み解いていく、というもの。「三国志演戯」では、劉備諸葛孔明は完全に信じ合っているように描かれているが、実は緊張関係があったよう。

 

最初に、これまでの登場人物のおさらいフリップ。

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まず、劉備のプロフィールから。
三国志演戯」では、涙もろい聖人君主のように描かれているが、実際は高度な戦闘技術で乱世に台頭した人物。しかし、曹操孫権に比べて、圧倒的に不利な状況からのスタートだった。

幽州に生れた劉備は、わらじを売って生活する下層階級出身。しかし、武将になりたいという野心を抱き、黄巾の乱が起こると兵力を集めて参戦。その功績が認められ、地方官僚に任命される。その後、各地の武将のもとを渡り歩くが、やがて最大勢力となった曹操のもとに身を寄せる。曹操劉備のことを‘今天下で英雄といえるのは私と劉備だけだ’と評し、将軍の座に登り詰めるが、一方で劉備曹操暗殺計画をたてる。しかし、計画はあっけなく発覚。曹操に攻められ、袁紹のもとに逃れる。そして、袁紹側の将軍として曹操と対決するが敗戦し僻地に追いやられる。しかし、そこから勢力を拡大する。

さて、劉備といえば、忘れてはならないのが関羽張飛諸葛孔明

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どんな出会いだったのか? 関羽張飛といえば、「三国志演戯」で登場する、兄弟の契りを行った“桃園の誓い”。正史では次のように書かれている。

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“桃園の誓い”の記述はないが、劉備関羽張飛は強い絆で結ばれ、命を賭けて劉備を守り抜こうとした。

では、諸葛孔明との出会いは? 有名な“三顧の礼”のエピソード。「三国志演戯」では感動的な場面だが、正史では?

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諸葛孔明は、劉備に何度も足を運ばせることで、自分の発言力を確保、漢の復興を実現したいという強い意志を示した。劉備孔明を招いたことにより、明確なグランドデザインや幅広い人脈を得て、蜀を建国することが出来た。

 

スタジオでの補足・・
劉備は叩き上げの英雄、情の深さで関羽張飛とは、知識人が入り込めないほどの深い関係、また、“三顧の礼”では、劉備がいかに孔明を高く評価しているかということと、傭兵の集団から名士を中心とする政権へ変わっていくのだということを見せる。孔明も自分の志を示せる。双方で納得づくの宣伝行為ともいえる。

そこまでして、どうして孔明を?
「天下三分」というグランドデザインを持っている孔明が入ることによって、劉備にとって戦う意味が明確になり、“雅言”という都の言葉(知識人の共通語)が喋れるため、内政・外政が円滑に進む。

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二人の関係は、もちろん協力関係にはあったが、微妙な緊張関係もあったのではないか。いつくかのエピソードがある。

ある時、人事を巡って対立。孔明は、経済があまり得意ではなかったため、経済に長けた劉巴を採用しようとしたが、劉備は拒否。劉巴はもともと曹操に仕えていた人物。しかも張飛を‘兵隊野郎’と馬鹿にしたこともあり嫌っていた。結局、劉巴は採用されるが、二人の間には何度もせめぎ合いがあった。孔明は、漢の再興を必ず成し遂げるという強い意志を持っていたので、劉備との対立もいとわなかった。

また、ある時、呉の孫権から、劉備との同盟を強固にするため、関羽の娘を息子の嫁に欲しいという申し出がくる。しかし、関羽は拒絶。これがきっかけで、孫権は同盟を破棄、その後関羽孫権によって殺される。

激怒した劉備は仇討をしかける。この時、「三国志演戯」では、孔明劉備の行動を止めたことになっているが、正史には何も書かれていない。孔明は、情に厚い劉備の性格を知り尽くしていたので、諦めていたのかもしれない。劉備は、仇討に敗れ、死の床につく。そして、孔明と息子にある言葉を残す。

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スタジオでは、感動的な場面だと話す。しかし、これを“乱命”だという人もいる。

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劉備は、孔明劉禅を裏切らないように、あえてこのように言ったとも考えられる。

 

スタジオでの補足・・
劉備は、嫌いな劉巴をどんどん出世させていく。劉備孔明は、人事に関してどういうふうにしていくかについて、ぎりぎり擦りあっている。最終的に決裂しないのは、“情”が劉備の真ん中にあるという信頼があったから。

孔明が仇討を止めなかったのは? 劉備の一番いいところだから、そこを潰してしまったら劉備じゃなくなる、先生はこの時の劉備が一番お好きらしい、‘もぉ、しょうがねぇなぁ’ってついていくと思う、と嬉しそうに話す。

さらに、“乱命”について、息子の劉禅には能力がないことはわかっていた、本当に孔明のことを信頼しているのであれば、こういうことは絶対言わないだろう、孔明の事は信頼しているが、情で結びついた人ではないので、関羽張飛との情の厚さが違うと読み取れる。孔明は凄く心外だったであろう、そんなこと絶対に言わないでくれという気持ちだったと思う、と解説。

伊集院さんも、ここで確認されちゃうと、絶対裏切んなよと、さいごの最後に、こんな関係だったのか、俺って、てことですよね、と話す。

 

劉備の遺言を受け、その後どういう道を孔明は歩んで行くのか。

孔明は、劉備の死後、漢の復興を目指し邁進、魏との対決を表明。劉備から受けた恩に報い、忠義を尽くすため自ら魏と闘うことを劉禅に宣言する。

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こうして、孔明は魏への攻撃を始める。苦戦を強いられるが決してあきらめることなく、攻撃は5回にものぼった。最後の戦いは五丈原、50歳を超えた孔明はここで病に倒れ、志半ばで死に至る。魏の将軍・司馬仲建は、孔明の死の知らせを聞き、蜀軍にとどめを刺そうと追撃。しかし、蜀軍から思わぬ反撃をうけ、仲達は、孔明が死んだというのは自分を誘き出すための策略ではないかと考え撤退した。

‘死せる孔明、生ける仲達を走らす’、孔明は死んでなお、敵を動かしたのだ。この後、三国時代は終わりを告げ、中国は晋によって統一される。

 

スタジオでの補足・・
智の人というけど情が混じって感動的。劉備に対して情が出てきている。「出師表」は、劉備の委託を受けて“漢室復興”することが志なんだということを劉禅に噛んで含めるような教え方をしている文章でもある。先生は、孔明がこれを出した瞬間が一番幸せだったんじゃないかと話す。さらに、智でいる人間が、人間丸出しですね、この揺れ方が面白い、“三顧の礼”はパフォーマンス的で冷静な部分があるが、それと矛盾している、劉備への追憶になっている、と力説。

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混迷の時代、様々なタイプの英雄が出てきたが、三国志ファンが、君はこのタイプだね、と言いたがる理由がよくわかったと伊集院さんは感想を話す。

ちなみに、いいなと思う人物について、先生は諸葛孔明、司会の女子アナさんは曹操、伊集院さんは孫権、とのこと。(完)

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前回に引き続き、映画「レッドクリフ」の中で、劉備がわらじを編んでいたのはそういうことだったんだと納得。他にも腑に落ちた点、ございました。

今回は、諸葛孔明の心の揺らぎを知り、ちょっとうるっときました。遺言もそうですが、特に「出師表」の

  “  漢室を復興し旧都洛陽に帰りたいと思います
   いま遠く離れようとするに当たり
   上表を前にして涙が流れ申し上げる言葉を知りません ”

のあたりの文章は涙します。特に、特に“洛陽に帰りたいと思います”の言葉。どんな気持ちだったんでしょうと推し量ると本当に切ない。“帰して差し上げたい”と思いましたね。うーん、ここまで考えられたのはシリーズを通して拝見したおかげだと思います。ただ読んだだけでは、私の場合、あっそう、で終わっていたでしょうね。正史の方で、こんなにドラマを感じることができるとは、恐るべし『三国志』。ちなみに、私は・・孤独な曹操はきらいじゃないなぁ、孫権もなんとなく繊細な感じがしていいかも・・って感じでございます。

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日々感謝です。