今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

Eテレ「オイコノミア〜植物と経済学が出会うとき〜」を観て。へぇーっ、プラントハンター。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

ほぼレギュラー視聴しているEテレ「オイコノミア」。今回のテーマは〜植物と経済学が出会うとき〜。地球上の植物、その数約70万種といわれ、植物はなぜかような進化を遂げてきたのか、経済学でさかんに使われている理論が解き明かす、という内容。ざっくり備忘録しときましょ。

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ゲストは、プラントハンターの西畠清順さん。顧客のあらゆる要望にこたえて世界中から植物を運び込むプロフェッショナル。そして、今回訪れた場所は、東京代々木にある複合商業施設。敷地の半分以上に世界中の珍しい植物120種が植えられている。全て西畠さんが集めて育てている。日本ではない異国の地のような空間。ここで、実験的な
試みを行なっている。

推定樹齢500年の枯れかけているオリーブの老木を5年前にスペインから運び込んだ。芽が出ていないけれど、新しい芽が出ようとしている。普通は、見た目が良い木を持って来て植えるのが通常の庭造りだが、西畠さんはあえて老木を配置。枯れかけてもなお芽吹く生命力を見せたいと考えた。

また、長期間乾燥に耐えられる多肉植物のトックリラン(原産地メキシコ)の隣に、水大好きな熱帯果樹のジャボチカバ(ブラジル)を植え、水はけを工夫して共存させている。当初はこれだと育たないと周囲に言われたが、あえて挑戦した。

西畠さんは、自分は関西人で、東京に来たとき結構緑のある公園が多くて、見たことのあるたくさんの木を植えて量で見せても、なかなか感動しないな、量は少なくても人が‘これ大丈夫?’‘何考えてんの?’と気になって、距離が近くなる作戦を考えた。情熱とテクニックが他にはない空間を生み出している。

植物って数学的。この植物は、この時期にこういうやり方で移植したら成功率が高いとか合理的で理に適っていて、それをわかった上で別のことをすると、それにおさまらない動きをし、また驚かされると西畠さんは言う。

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そもそも、プラントハンターって何?

西畠さんは、詳しく調べたことはなく聞いた話ではと前置きした上で、300年前位にヨーロッパで生まれて、王族や貴族、政府機関、企業に雇われて自国にない植物を世界各国にとりに行って届けた人たちのことをいうらしい。人間が歩けそうもない高い岩山に張り付いた状態、いわゆるロッククライミング風な格好で植物採取したり結構危険で命がけだ。

現在世の中で見かける木や花、観葉植物はほとんど流通に乗ったもので、クリックひとつで買え、珍しいものでもちょっと勉強すれば個人で仕入れられるという流通が成熟した時代。西畠さんはプラントハンターと呼ばれるようになってから、流通に乗っていない植物、時に命がけで崖に行くときもあるし、規格外の大きさのものもあるし、それに特化してきた。

 

ここで、西畠さんのしていることと経済学とのつながりについての話。

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貿易について経済学で分析する際、根幹をなす考え方。なぜ、貿易が必要か、海外からいろんなものを持って来ることが人々をどれだけ豊かにするのかを貿易の理論で考えたりする。1817年位からスタートしていて長い歴史がある学問。西畠さんの仕事は“多様性選好”を満たす仕事。

世界中にはもの凄く面白くてかわいい植物がいっぱいあるから人に伝えたいという衝動があって、見て欲しい、聞いて欲しい、体験して欲しい・・で持ってきちゃう、と西畠さんは笑顔で話す。

 

しかし、海外から日本に持ち込む時には大変な神経を使う。特に“検疫”。日本では厳しいルールが設定されており、土ひと粒たりとも持ち込むことが出来ない。そこには想像を超える苦労がある。非常に細かい許可や書類が必要で、時間もお金も判断も情熱も莫大にかかる。運ぶ時期を間違えた、書類に不備があった、少しでもミスると何千万円かけても一発でパアとなる。持ち込めないときもあった。許可や書類がOKになっても植物が枯れたら意味もない。この木ならここまで切ってもよい、この時期なら大丈夫など経験から得たノウハウだけで仕事している。

経済学ではこれを・・

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西畠さんは、自分に依頼すると料金が高いとよく言われるが、一般人がやるともっとかかる。プロに任せて木の料金を払う方が安い。250トン位の植物を毎年仕入れており、この業界のプロ中のプロ、個人輸入するよりもコストダウンできる。スーパーと生産農家が直契約すると仲介業者が入らず安くなるというパターンがあるが、これはそうではないらしい。

 

ところで、西畠さんは又吉さんと同い年。又吉さんが園内を歩き回ったときのまなざしを見ていて気づいたよう。又吉さんが植物好きだと。歩き方や目の配り方で植物好きかどうかわかるらしい。

又吉さんは「好きです、好きです。よく自宅に帰る途中公園に立寄りぼぉーっと緑を眺めてました。自然の中にいると自分の器の中に抱えきれなくなったものを託せるというか器を開ける感じがする。」と話す。

西畠さんも「植物を見ていると野望とかナルシシズムとかを全部一旦ニュートラルにしてくれる。パワーが出過ぎるのも抑えられるのかも」と言う。

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続いて、植物の知られざる力を紹介。
アルソミトラ(東南アジア)の種。平たく薄いブーメランのような形。飛ばすと紙飛行機のように舞う。アメリカのステルス戦闘機のモデルになったといわれる、いわゆる“バイオミミクリー”。生物の形態や機能を模倣することで新しい技術を生み出す学問。

 

さて、多様な植物の進化。経済学で重要なある理論で読み解くことが出来る。

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様々な分野で応用されており“進化ゲーム理論”というものもあるらしい。

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例えば、‘木の高さはどうやって決まるのか?’
基本的には遺伝子にプログラムされたものが振る舞い方に出てしまう。この理論では、自分で行動は決められないけれども、進化的に安定な戦略をとっているようなものが、突然変異や淘汰のプロセスで生き残っていく。

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どういうことか、隣り合う木と木の関係でみてみると・・・
森の中に、間隔をあけて横並びで3本の低木が生えている。太陽の光をたくさん受けようとして、真ん中の木が突然変異で背が高くなったとしたらその木が太陽の光を多く受けとれ、徐々に小さめの木が淘汰され大きい木だけが生き残る。木の高さは変わってもお互いの関係性は変わらない。そして、また光を受けようとして突然変異でさらに背が高くなるかというと、育てるのには時間もかかれば水を吸い上げるのにもコストがかかる。この場合、水・養分を吸い上げるのはコストなので、やみくもに高くなるのではなく環境に応じてバランスをとるようになる。

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植物は隣を意識している。こういうことがあるから、植物は種を遠くに飛ばして子孫を残そうとする。

日本で室内に飾る人気の観葉植物、フィカス・ウンベラータは、現地アフリカでは葉の大きさは小さく、室内に置かれると太陽の光を受けようと3倍の大きさになる。環境によって姿かたちを変化させる。植物の世界では、強い弱いではなく環境に適応できたものが生き残っていく。

西畠さんは、植物と人間の最大の差は脳があるかないかだと思う、本能というものはお互い持っているが、植物は生きることにストイックで、ひたすら子孫を残すことしか考えていない(脳はないけど)、人間だったら子孫を残す事しか考えてないって言ったらしかられますけど、と言って笑う。

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これに関連して、間もなく生を終えるため今しか見られない植物があるという。100年に一度咲く花の木、センチュリープラント(メキシコ)。実際は20〜30年で咲くらしい。この長い間じっと耐えて成長し、そろそろ子孫を残せるとなった人生の最期に自殺することを決めるとのこと。朽ちたら倒れて、種が飛んでまた生える。そのために
少しでも高く伸びる。

又吉さんは、「30年に1度しか咲かないって聞くと、別に人間に見られるために咲いてたわけじゃない、ここにおるからあるっていう・・僕等人間も同じだなと思いますね、芸人は面白いことを言わんとあかんのですげど、それは仕事であって、そもそも人間はそこにおるから、おるっていう・・」と感慨深げに話す。

 

今の時代に求められる植物って?
昔だと、火傷したらアロエとか、食料とか薬とか直接的に人間に役立つものが求められた、そして、バブル時代は派手な花をたくさん飾ってOKみたいな雰囲気だっだか、今は、美しいデザインはどこでもやっているので、なぜその木がそこに必要なのか、なぜその木を選んだのか、意味のある緑化、意味のある植物空間が求められているのでは、物語があった方が面白い、と西畠さんは語る。

最後に、又吉の経済ポエム〜生き残るために空中に浮く植物、喋り出す花〜

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最近(でもないか)、こちら地方のショップでも凄く珍しい植物が並んでますよね。店内だとそこまで巨大なものはありませんが、番組のロケ場所にはどうやって海外から持ち込んだの?って思うほどの巨木がいっぱい。根や葉を全て落としてまるで資材のような
かたちのものを巨大クレーンでつるして船に運び込むんですね。それにしても、命がけの作業で“好き”の極みですね。

しかし、この「オイコノミア」、なんでも経済学とつなげて、時には‘はぁー・・?’と思うこともありますが、興味深いこともあり一種の勉強になります。序盤の貿易の‘多様性選好’あたりで、もしかしてトランプ大統領がらみの流れになるのかしら?と勘ぐってしまいまして、案の定バスレましたけど、私、だいぶ「オイコノミア」慣れしてきたようでございます。次回は、また興味ある“盆栽”がテーマのようですので楽しみにしております。

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