今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

Eテレ「SWITCHインタビュー達人達 三浦大輔×稲垣栄洋」を観て。初めて知った雑草学。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

たまに観ているEテレ「SWITCHインタビュー達人達」。今回は、元横浜DeNAベイスターズ投手の三浦大輔さんと雑草研究者の稲垣栄洋さん。お恥ずかしながら、稲垣さんのことはもとより、“雑草学”なるものも存じ上げておりませんでしたが、とても興味深かったのでその“雑草学”についてざっくり備忘録しときましょ。三浦ファンの方には申し訳ございませんが、野球については割愛させて頂きます。

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“雑草学”という馴染みのない研究者で静岡大学教授の稲垣栄洋さん。
“雑草学”とは、雑草が持つ特徴を明らかにし、農地や緑地の雑草を管理する技術の開発を目的とする学問。専門性の高い分野のようだが、稲垣さんの著書「雑草の成功戦略」「雑草は踏まれても諦めない」「弱者の戦略」などには人間の世界にも通じるテーマが満載。独特な切り口は、ビジネスマンや経営者にも密かな人気を博している。

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稲垣さんの雑草についての説明を幾つか紹介。

四葉のクローバーも雑草。四葉が出る理由は幾つかあるが、‘踏まれると出やすい’、踏まれると傷つくので修復しようとして四葉になるのかも。幸せのシンボルと言われるが、踏まれたからこそ幸せが来るとも言えるかな。

・踏みつけられる場所にも雑草はいる。上に伸びずに横に広がるなど、自らを変化させるものもある。

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・雑草って、踏まれても踏まれても立ち上がるというイメージがあるが、それは結構嘘で、1回や2回だと立ち上がるが、立ち上がらないのが本当の雑草魂。情けないようだが雑草にとって一番大事なことは、生きて花を咲かせて種を残すこと。立ち上がるのも大切ですけど、踏まれながら生きる、それが本当の雑草魂だなと思う。

・人や動物にくっついて種を運ばせるひっつき虫(ユセンダン)は、上と下では育つスピードが違う。雑草の世界はいつ何が起こるかわからず、どういう戦略が良いのか正解がない。早く芽を出した方がいいのか、のんびりがいいのか。あの手この手で生き残りをはかる。

・雑草って本当は強くなくて弱い植物。良い環境の豊かな森にはいない、他の植物との生存競争に負けてしまうから。強い植物との激しい競争を避けてライバルがいない場所で勝負している。そんな雑草の戦略が冬の畑で見られる。例えば、ノゲシなどは1m位も根がある。冬に葉を広げている雑草は弱いからだが、地面の下で栄養分を蓄えて、ライバルが眠っている間に実力をためて、春になって一気に茎を伸ばす・・という戦略。冬は嫌な季節ではなく、チャンスの時。“見せない努力”。

・海外では雑草は悪者、邪魔なもので、「あなた雑草みたいですね」というのはすごく嫌な人に対して言うらしい。しかし、日本人の場合は少し褒めている感じで、‘温室育ち’より‘雑草’と言われる方が良いというときもある。日本人の雑草の美学?

春の七草を言える?セリ、ナズナゴギョウハコベラスズシロホトケノザスズナ(私は言えない、とほほ)。スズナスズシロ以外は雑草。古くから日本人は雑草を食用や薬用などにも利用し、その価値を見い出してきた。

・雑草が滅びることは、人類が滅びない限りないかも。根っこから抜くと、土の中の種が刺激を受けて芽が出てくる。雑草を失くすのは難しい。

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そもそも、雑草ってなに?
実は定義が難しくて、道端とか畑とか、庭に生えてて邪魔な植物のことを言うけど、それは人間の勝手な判断。雑草を調べていたわかったことで、どういう風に育つか決まっておらず、環境に合わせて自由自在に伸び方を変える力がすごくある。野菜などは育ち方がほぼ決まっているが、雑草は弱いからこそ自由自在に無駄を省いて必要なことだけで自分の生きる道を探していく、そういうところに惹かれると稲垣さんは言う。そして、雑草は人のいない所にはいない、富士山にはない、けど山小屋の近くにはいる。

 

稲垣さんが雑草学の道を志したのは大学時代。大学教授になる前は、農林水産省などの職員として農業に関わる仕事に従事。稲垣さんの視点が生かされたのはこんな事例。

静岡の茶畑では、お茶の品質を高めるための伝統農法が用いられる。茶畑の周辺の草ほ刈って茶園に敷く“茶草場農法”だ。茶草場を調査し、この農法が生物多様性保全に大きく貢献していることを明らかにした。この研究によってこの農法は国連機関から2013年‘世界農業遺産’に認定される。茶畑周辺の環境に視点を置き、伝統農法に新たな価値を見い出す。

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雑草を研究しようと思ったきっかけは?
大学農学部の学生時代、人々の役に立つ作物を生育中、作物の横から奇妙な植物が生えてきて、先生にこれは何かと尋ねたら、「花が咲くまで置いておきなさい」と言われた。日々水やりしているとどんな花が咲くのかなぁーと、アナザーストーリーが気になり始めて・・それがなかったら違う研究をしていたと当時を振り返る稲垣さん。何気なく生えている雑草にもすべて意味があって、解からないことが解かってくると面白いとも。

そんな稲垣さんが、雑草の世界に人間の生き方を重ねるようになったのは東京の官庁街に勤務していた頃。草餅の材料になるヨモギが都会の道端のコンクリートのわずかな隙間から芽を出し、したたかに逞しく生きる姿を見つけたり、くねってくねって上に伸びる道端の雑草を見てドラマを感じたりするようになった。

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ところで、実は自然界はすごく激しい生存競争が行われているが、一人勝ちは出来ない。一人勝ちするとバランスが崩れて勝者も滅びる。わかりやすい例として、戦後アメリカからきた雑草・セイタカアワダチソウが根から毒のような物質を出し、驚くほどの繁殖力で在来種のススキなどを駆逐し日本で一人勝ちしてしまったことがある。

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しかし、日本の在来種はこの雑草の毒は初めてなので枯れてしまったが、その毒によって自身も枯れてしまったのだ。アメリカでは周囲の雑草は毒に対して進化していたので枯れなかった。今はバランスを保って共存している。負け組はそれでおしまい、というのではなく違うアプローチで戦えば良い、最後は一粒でも種を残せば勝ちなのだ。

 

最後に、個性を育てる難しさについて。
今、種を蒔いて雑草を育てているが、すべて同じ条件なのにワサワサしているところとまだ芽が出ていないところとがある。野菜や花ならほぼ同じように育ってくれるし、予測も出来るのに。個性ってこういう世界のことなのかも。個性を見極めて、強みを発揮できる方向に伸ばしてあげるって簡単なことではないな、育てるってことは、みなと揃えたくなったり、自分が思う方向に行かせたくなる、個性を育てるって正解は何なんでしょうね、と稲垣さんは語る。

 

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美しく咲き誇る四季の花々は本当に私たちの心を癒やしてくれます。けれど、♪上を向いて歩こう♪に逆らって、腰を落として、視線を下げて、地面を見入ると、そこには別世界が広がっています。先日川土手を歩きましたら、一斉に小さなボタンがふわふわ浮いているかのような光景を目にして、自然と口元がゆるんでしまいました。

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久しぶりに庭の地面もチェック。一ミリ位かな、ほんとに小さな小さな花を見つけました。

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“あらら、また草むしりの時期がやってくるぅ・・”と野暮な気持ちが脳裏をよぎりましたが、束の間の幸福感を楽しみました。まぁ、私はこんな風にいいとこどりしかしていませんが、茶畑農家さんのように汗流しながら自然の恵みをつないで下さっている方々、人知れず研究をされてる方々に敬意を表します。ってこの表現は上から目線ですよね。

そうそう、私は全くお嬢様育ちではなく、むしろ貧乏な育ちの部類ですのに、若かりし頃一度会社で「君は‘温室育ちだからね’」と揶揄(と自分が思い込んでただけかも)されたことがあり、内心ムっと、というより、はぁーっ?と驚愕したのを思い出しました。たしかに、雑草のようなと言われた方が落ち着く、自分らしいと思ってしまいますね。しかし、雑草が弱いということは知りませんでしたし、同じ条件下でああも育ち方が違うというのは驚きでした。こんなに雑草のことを知ると、草むしりの際に困ってしまいます、抜きにくいではないか!

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日々感謝です。