今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

NHK「探検バクモン〜辞書〜」を観て。この方が「舟を編む」の・・。

こんにちわ、SUMIKICHIです。

滅多に観ることのないNHK「探検バクモン」ですが、日本一売れている中型辞書「広辞苑」の改訂現場を取材!というテーマに引かれて録画視聴いたしました。私、数年前に三浦しをんさんの著書「舟を編む」を読んでから“言葉”への向かい方が変わりましたので興味津々。生活には活かされてませんけどね。ざっくり備忘録しときましょ。

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番組で取材したのは、岩波書店・辞典編集部。「舟を編む」の主人公のモデルになった平木靖成さん登場。「広辞苑」改訂責任者でこの道24年。

広辞苑」は、初版は1955年に発刊、約10年に一度改訂され、最新刊は第6版(2008年)。累計1,100万部、中型では日本一の売上げ。掲載される言葉は、人名、地名、科学の言葉など幅広く、約24万語(3,000ページ)。

特徴として、“古い意味が最初に載り、順に新しい意味へ”となっている。例えば、【かわいい】だと、1番目は“いたわしい、ふびんだ、かわいそう”、3番目で“小さくて美しい”となる。なので、その昔に「君、かわいいね」と言われたら、「君、ふびんだね」という意味になる。

 

ここでクイズ!辞書に載せる前提で【右】を説明せよ!
答えは、“南を向いたとき、西にあたる方”。(爆笑問題・田中さん、正解!)
他の辞書では、“アナログ時計の文字盤に向かったときに、1時?5時までの表示のある側”(新解明国語辞典)や“この辞典を開いて読むとき、偶数ページのある方”(岩波国語)となっている。

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【右】という言葉を調べる人はいないかもしれない、でも、もしその意味がふと気になってしまったら・・辞書とは言葉の森で迷ったとき、道しるべとなるべきもの。

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しかし、言葉は時代とともに変わっていくため、約10年に一度改訂をし、辞書に載るすべての言葉を見直す。もし、イギリスとスコットランドが独立するかもしれないとなった場合、イギリスという言葉が含まれている項目1567件をスコットランドに直すかどうかひとつひとつ検討する。

 

その他に、【ミソサザイ】という鳥の絵と説明文が離れているので、近くに配置した場合、他の言葉の説明文を短くしたりして調整。

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また、【チョウチョウウオ】という魚の“縦じま”について・・ある編集者は、自分から見ると“横じま”に見えるとお悩み中。

「コレ、変じゃないかなと思ったけど、基本的には体の線に沿っているのが“縦じま”なので、チョウチョウウオさんは横向きに泳いでいるから、魚からすると“縦じま”でいいのか・・」と。爆笑問題・田中さん、「阪神タイガースの“縦じま”ユニフォーム着た人が泳いだときは“横じま”、みたいなことですかね」とフォロー。

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リスは木に登っているから“縦じま”、トラは“横じま”、シマウマは“横じま”・・。

 

辞書とは言葉の森の道しるべ、編集部員はたったひとつの言葉に過剰なまでに神経を使い、24万語を積み重ねている。頭がおかしくならないですか?の問いに、「楽しいですよ」と微笑む。ひぇ〜っ。

 

ところで、今の辞書のもとになるものが「玄海」著者・大槻文彦。明治24年(1891年)完成、3万9,103語収録。

  ねこ【猫】  人家に飼う小さき獣、温柔にして馴れ易く、
         また能く鼠を捕れば飼う。
         然れども、窃盗の性あり。

  かっぱ【河童】水陸両棲の動物にて、
         形、三・四歳の童の如く。
         面、虎に似て、身に鱗甲あり。
         九州の山中の渓流に多いという。
         詳ならず。
明治の人の暮らしや考え方が見えてくる。辞書というものは時代を映すもの。

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さて、辞書改訂されるたびにニュースになることがある。≪新語≫だ。

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言葉の線引き、選定基準は?
  ①数年先にも使われている
  ②その言葉がないと表現できない項目がある

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【萌え】は、心がときめくとか好きだとかで“○○萌え”って使うのは知っているが、どういったものに対して萌えるのか、萌え方が様々で今でもわからないので見送りに。そのうちに消えるものか残るのか・・流行辞典ではないので一番に載せなくてもいいかと。

 

新語の数は?
耳や目ほ絶えず新語に向けて必死で集めると一年に1万語くらい集まり、10年で改訂なので10万語。その中から議論を尽くして1万語くらいに絞る。

今気になる新語は?
例えば、【iPS細胞】【アイフォン】【愛猫家】【アイプチ】エトセトラ・・・【アイドル歌手】は【アイドル】と【歌手】を引けばわかるのでないかなと。

言葉の辞典だから意味が書いてあればいいじゃないかと思うかもしれないが、その言葉を使ったときに込められた気持ち、ニュアンスがないと駄目じゃないかと思う、と編集者は語る。

例えば、【バツイチ】(第5版1998年に掲載)。“一度離婚経験があることを冗談めかして言う癖”と記されていて、‘一回離婚歴あるけど何でもないよ’というニュアンスを込めている。その微妙な違いに辞書は挑んでいる。

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ここでクイズ!【独擅場】、なんて読む?
正しいのは「どくせんじょう」。が、“擅”を“壇”と間違えて「どくだんじょう」と読む人が増えたため、‘へん’も変わった。

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辞書で【独擅場】を引くと、‘誤って【独壇場】ともいう’とある。【独壇場】も載っていて、‘“擅”誤読からできた言葉’となっている。

他にもこんな例がある。

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続いて、辞書には欠かせない“紙質”。
文庫本に比べて価格が2倍。初版(2300ページ)から第6版(3000ページ)まで、厚さ8㎝は変わらない。人が片手で持てるサイズ。ということは当然、紙が薄くなっているということだが、不透明度はなんと82%。ページをめくるときに指に吸いつくあの“ぬめり感”が重要。もちろん紙同士はくっつかない。そんな紙を開発するまでに5年を要した。引きやすさは大切。

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最後に、平木さんが広告代理店の方と話したときに想ったことを・・・深い言葉です。

  代理店ですから、いろんな言葉を集めてらっしゃる、
  でも、それらは
  パッと咲いた花 とか 芽吹きしたばかりの芽 とか 散り始めた花粉とか 
  そういう言葉なのかなと・・
  我々が集めてる言葉は
  それが地面に降り積もって
  土になって 腐葉土となって
  次の日本語を育てる土壌になるものを
  言葉として集めてるんだなと・・
  今後の日本語を育てていくような広辞苑の使い方を
  皆さんにしていただければいいなと。    

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毎度のようにダラダラ長い自分用の備忘録ですが、とっても興味深く面白かったですね。今はパソコンで何でも変換検索できるし、随分享受してきたけれど、もう一回一冊になっているモノの有難味、別の価値観を感じます。“面白い本を探しているなら、辞書も案外悪くない。ドラマチックなことは起きないけれど、そこには言葉のワンダーランドが広がっている”と言ってましたが、まさしくそうですね。

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私、正直、大人になってたまに使っている辞書は、小学生のときにお世話になってた小型の国語辞典。と申しましても、そんなに引いてませんけど。あの“ぬめり感”は大好きです。今ではネット検索するようになりましたが、あの“ぬめり”を触りたくて辞書を引いてたのかも(小型はそこまでしゃないか)。ネットは知りたいことだけ知れる、でも、辞書は知りたい言葉以外の言葉も目につき、へぇーっとなる楽しみがございます。「広辞苑」、欲しい・・あと1〜2年で改訂版が出ますよね、楽しみにしておきましょ。きっとオブジェと化すに決まってますが。

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日々感謝です。