Eテレ「オイコノミア〜競争しないとダメですか?〜」を観て。負けて強くなるってあるよね。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
去年からよく観ている「オイコノミア」。今回のテーマは、〜競争しないとダメですか〜(去年4月放送済のよう)。受験にスポーツ、就職…人生で避けられないのが競争。一握りの勝ち組以外にはメリットはないの?そんなことないんです!競争の意外なメリット、経済学で考えます、って内容。
では、備忘録としてざっくり綴っておきましょ。
今回のゲストは、EXILEのMAKIDAIさん。一昨年末EXILEのパフォーマーを卒業、現在は俳優・DJ・パーソナリティーとして活躍中。大学は経済学部専攻。なので経済学には思い出があり・・大学2年のとき、ダンスに夢中で大学を辞めようと考え、両親を説得するため経済学の教科書を机に並べて問い詰めた。
「これが自分の将来にどう役立つのか説明してほしい」と。
当時は、経済学が自分にとってどういうものかわからず、今自分にできること、ダンスに挑戦したいという気持ちだった。結局、父はそこまでいうのならやってみろと言ってくれ、大学2年の終りで中退、残りの学費2年分をダンス留学にあてた。そんなMAKIDAIさんとともに経済学にふれる。
まず、“競争”は好きですか?の問いに、又吉さんは疲れるから苦手だと、MAKIDAIさんは、好んで競うのは好きじゃないけど、ライブなどで前の人がいいダンスをしたら自分も頑張ろうとかはある、と答える。
経済学の立場から言うと、競争するとこんな良いことがある。
“人は競争するといつも以上の力が出る”という研究結果がある。
1898年、アメリカの心理学者(ノーマン・トリプレット)が、あるシーズンの自転車競技の全データを調査し、単独で走っているときと複数で走っているときのデータを比較。すると、単独のときと比べて複数の方が1マイルあたりの平均速度が約5秒速かったとのこと。
では、本当に“競争が努力を引き出す”のか簡単な実験。
収録前に、又吉さんとMAKIDAIさんそれぞれに、30秒間で風船をどこまで膨らませるかやってもらっており、再びスタジオで二人同時に30秒間風船を膨らませてもらった。結果、単独でやるときよりも、競争しながら(二人は競争のつもりじゃなさそうだけど)やった方が二人とも前回より大きく膨らませることができた。MAKIDAIさんの方がだいぶ大きい。(うーん、慣れただけ?)
能力の優れた相手と競争することでお互いの能力が伸びる努力を引き出す。経済学ではこれを“正のピア効果”と呼ぶ。
“ピア効果”には、“生のビア効果”と“負のピア効果”があると経済学では考えられている。
“負”の例えとして・・太った人が友達や家族に多いと自分も太りやすい(根拠はないよね)とか。
しかし・・・
そこで、アメリカにある空軍士官学校で経済学者が行った実験を紹介。
一学期が終わり成績をまとめてみると、経済学者の予想外の結果に・・
落第の危機にあった生徒たちの成績はさらに下がった。トップレベルの人達に囲まれて、自分が力不足だということを痛感させられて意欲減退になった。成績が悪い人同士で集まってしまって、成績悪い人たちのピア効果になってしまったのだ。
この実験からわかるのは、勉強でも仕事でもスポーツでも、ただ競争させるだけでは駄目で、ピア効果を期待して集団を作るためには、かなわない相手ではなく、近い能力の人と競わせた方が良いということ。この実験結果で、他に、成績優秀な生徒と悪い生徒の間ではピア効果は働かなかったが、中間層は劇的に成績アップしていた。
このピア効果を上手に活用している現場、渋谷のお笑いの劇場へ。ここでは365日、朝から晩まで若手お笑い芸人が舞台に立ち、芸を磨いている。年間若手芸人700組が出演するこの劇場では、お客さんの人気投票により芸人のやる気を引き出している。
少し詳しく、芸人の実力を高める競争の仕組みとは?
ピラミッド型のバトルシステムになっていて経済学的にみると面白いポイントが二つある。
一つは、それぞれのレベルで同じような実力で競わせていて、ピア効果を上手く生かしている。全員ごちゃまぜで競わせるより、意欲が出る。
もう一つは、“報酬制度”。ランクによって報酬が違うのでやる気が出やすい。これを経済学用語で・・
又吉さんもこれを勝ち抜いてきたわけだが、大変だったけど楽しかったし、今では貴重な宝物のような時期だったと振り返る。また挑戦しろと言われたらどうか?との問いに、できるのならやりたいですねと意欲を見せる。(へぇー、そうなんだ)
MAKIDAIさんは、うちにも似たようなシステムがあるけど、それよりも、HIROさんはライブ終了後、全員にひとりひとり、今こんなのが欲しいんじゃないかと考えたプレゼントを用意している。これでまた頑張ろうと思うと話す。
実は、又吉さんの小説にも競争に関する一節がある。“競争で負けた芸人の必要性”について言及している。
この一節の冒頭の五行と後ろから三、四行にピア効果が表現されている。
又吉さんは、もともとサッカーやっていた頃から思っていたことで、代表やプロだけが凄いんじゃなくて、負けた人がいたことで上に行けたとも考えられるし、いなければ上手くもなってないし、と。
経済学で考えると、負けた人にとっても競争のメリットはある。
オーストラリアの経済学者、フリードリッヒ・ハイエクは下記のように提唱した。
競争に負けることはつらいことだが、自分の苦手なことを知って、本当に得意なものを見つけるチャンス。
MAKIDAIさんは、初めからパフォーマーを目指していたわけではなく、小学生の頃はプロ野球選手なりたかったが高校へ推薦入学させてもらえるほどの力もなかった、だけどそうだったから今の自分がある、意味のある事だと思う、と話す。
また、又吉さんは、ハイエクのことは知らなかったけど、ほぼ同様な考えだ、「学校の勉強に何の意味があるんですか?」と聞かれたら、いつもそう答えていた。社会に出る前に、集団の中で自分が何が得意で、何が苦手で、何が出来るのか、どんな人間なのかを見つけるためだ、探せる場所なのだと。
こういう説明がないまま、ただ競争だけさせられて、おまえはダメだと切り捨てられるだけだから競争を嫌いになる。しかし、一度や二度競争に負けても、もう少し頑張れば勝てる可能性もあるし、壁を乗り越える努力も大切だし、判断は難しい。
ダンスとお笑いの世界で競争をくぐり抜けてきた(今も継続中?)二人は、“競争への危惧”もあるという。
キッズダンサーは覚えも早くて、技術も上手いが、自由に踊っていいよというと戸惑う子や周りと合わせるのが苦手とか、自分たちが若い頃のように情報が少なく手探りで作っていこうという独創性が低い部分があるかな、と話す。さらに、勝ち負けではなく、ソロのフリーダンスが好きな人、振りをすぐ覚えて踊るのが上手い人、それぞれの個性はいろんな人と知り合う(ピア効果の競争?)ことでわかってくる、とも。
又吉さんは、競争を苦手だと思う一番の理由は、勝った者だけが正義という感覚。一番なんてふんッて偏見を持つことなく、一番のものは一番で楽しめば良い、多様な面白さがあるということを念頭においた競争を楽しむのが良いと言う。
ざっと、こんな流れでございましたが、私も“競争”は苦手でございます。出来れば避けて通りたいです。しかし、意識していなくても競争はしてるんですよね。早期退職して現在無職で自宅に引きこもってますので、もう競争しなくてすむぞーっ、と思っていましたら、時間が経つにつれ、生活スタイルに合った競争発生。ブログを始めると、誰も読んでくれなくても平気だしと思いつつ、友人が生存確認してくれたりすると何だか嬉しくて、そうすると、もう少し変った写真の方が面白いのかななんて他者の目を気にしてみたり、なんでこれにアクセスして貰ってるんだろう(数はすくないけど)などなど、誰と、何を競ってるのかわかりませんが、これって無意識に自ら競争を求めてるといえるのでしょうか。日々、自分の中の批評家とは闘ってますけど。この歳でも成長したいから競争欲求?なんか、違うな。
そうそう、私は、競争で勝ちたいと思ったことはほぼありません(実際負けてばっかりかな)。自分は本当は自我が異常に強くて、集団からはみ出しがちであることを自覚しているので、社会集団においてはなるべく勝たないように、負けないように、を心がけていた気がします(あっ、勝とうと思えばいつでも勝てるのよ!と言いたいのではないですよ、勝つ意義がわからなかったのかな)。でも、今の私は負けて、傷ついて、かさぶたができて、そこから強くなったって感じかな。
それと、小学生のとき、50m走のタイム計測で二人で走るのですが、10秒の生徒と走ると自分も10秒、8秒の人と走ると8秒となり、子ども心に、ん?とひっかかりがあったのを今でも覚えています。たまたまだったんだと思いますが、競争って、誰とするかが影響するんだなーと。けど、自分は一体何なんだ?って話もあります。
この競争については、思いつくコトがたくさんありそうですので、別に綴ってみよっかな。
日々感謝です。