Eテレ「オイコノミア〜いくらで働く?賃金の経済学〜」を観て。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
テーマによって観ているEテレ「オイコノミア」。今回は“いくらで働く?賃金の経済学”。さて、どんな切り口なんでしょうか。
ゲストは、芸人の東貴博さん。浅草にもんじゃ焼きのお店を開き、現在従業員19人のうち8割が芸人さんのアルバイト。芸人さんは仕事が急に入るのでなかなか働き口が見つからないので、東さんのお店で働いているそうです。経営者の顔を持つ東さんにもためになる番組ですね。
番組の内容をざっくり綴っておきましょ。つっこみどころ満載ですが、寛容なお心で・・。
まず、「賃金はどう決まるのか」を経済学で考えると、均衡価格(需要と供給が等しくなるところで決定する価格)でだいたい決まっているようです。労働者は少しでも賃金が高い方が良い、経営者は少しでも安くしたい、その相反する間でちょうどバランスがとれる価格ですね。
ところが、この価格より高いところがあるとのこと。東京の八王子市にある家電量販店で、従業員約40人のうち社員とアルバイトが半々。八王子市の家電量販店のアルバイトの賃金相場は、時給1,000円前後なのに、ここではスタート時が1,500円!年に4回の査定を受け、昇給のチャンスもあるが、実績が伴わないと下がる。しかし、少々下がっても、もともとの時給が高いので働けるというアルバイトもいる。一方で、人の何倍も働いて実績を上げ3年目で時給2,700円(手当込)というアルバイトもいる。
なぜ、相場より高い賃金を支払っているのか?
・8年前、他社競合店が期間限定で時給1,400円で募集したことに対抗して1,500円に上げた。
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・競合店はもとに戻したが、ここは人材確保のために時給を戻さなかったら・・・
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・時給が高いとアルバイトの募集が増えた。人材の質が良くなる
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・定着が良く(長く)なる、知識や経験が蓄積される
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・接客の質があがる
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・業績が上がる
以上のような好循環が生まれたそうだ。
さらに、高い賃金は、消費者にもメリットがあるとのこと。家電販売店でよく半被やジャンパーを着て接客している人を見かけるが、ほとんどメーカーから派遣されて来た人で、そうすると自社の商品をススメがちになる。そういえば、以前、私はあるメーカー派遣さんに説明を受けて、そのメーカーの冷蔵庫を買ったわ。
ここでは、全員自前の従業員なので、お客様の要望に合うものをおススメすることができるのだそうだ。つまり、高い賃金は、アルバイトが定着して、商品知識が豊富になりメーカーの偏りなく説明が受けられる、というわけだ。
こういったメリットを生かすために設定される賃金を・・・
ところで、相場より良い賃金だとどうしてやる気が出るのか?について、ノーベル経済学賞受賞者のジョージ・アカロフ氏は、時給1,000円の労働者が企業から上乗せして賃金をもらうと、プレゼントを貰ったような気になってモチベーションがアップし、そうすると生産性もアップすると説き、それを『贈与交換』と名付けある実験をした。
上記の5つの中で、最も生産性がアップしたのはどれでしょうか?
答えは、「E」。わざわざお札を折り紙にして手が込んでいる、気持ちがこもっているから。
続いて「B」→「D」→「C」→「A」。現金だけ、ほいと渡されても、ただ労働の対価だから当然としか思わない。
東さんも又吉さんも、選ぶことができるから「D」と答えてましたが、違いました。私も「D」かなと思いましたが、「B」も面白いかもとチラっと思いました。人間って、お金だけで頑張るわけじゃないんだ!と驚いてました。“よりプレゼントだと意識する形で渡されるほうが嬉しい、それで生産性があがる”らしい。
お二人とも、番組収録前に出されるお弁当がすごく美味しかったらやる気が出ますよね、それと同じことですかね、と学者先生に問うと、そうですよね、500円をポイと渡されてご飯食べて下さいって言われると寂しいですよね、と話されてました。私、はっと、いたしました。社員時代、ロケスタッフからお弁当の質でよく嫌味を言われてまして、あまり気にとめてませんでしたが、自分がお弁当を貰う立場に立った時は、確かに気遣いのあるお弁当の時はなにやら嬉しかった気がしましたね。そういうことですね。
番組後半に入りますと、ちょっと厳しいお話になりました。今年10月に引き上げられた「最低賃金」について。
全国平均 時給798円から823円に。引き上げの一番の目的は、貧困層の生活の改善。一般的な考えでは、最低賃金を上げると、低い賃金で働いている人の所得が上がるから貧困解消に役立つとのことですが、経済学者の間では違うようだ。『貧困対策としては有効ではない、むしろ、失業者を増やす』。
又吉さんは、アルバイトの面接でよく落とされたらしい。大人しくて暗い雰囲気だったからかな、僕みたいなタイプは受かりにくくなるんじゃないですか、と冷静に話していました。その通りで、最低賃金が上がることによって、生産性が低い人たちが職を失うとみている。
ただ、この常識をひっくり返す研究もされているが、未だ大論争の決着はついてないそうだ。
ここで、学者先生がおっしゃるには、最低賃金を引き上げることで恩恵を受けられるのは、実は貧困層ではなく中間層、という見方もあると。世帯主年収300万円未満の貧困層は、全体の約15%で、世帯所得(非世帯主)年収500万円以上は約50%、ざっくり言うと、最低賃金で働いている人の約半分は、豊かな家庭の子供や主婦、この層が恩恵を受ける。貧困対策は賃金の政策だけでは厳しく、失業者への訓練・職の斡旋・教育支援・介護支援・子育て支援・経済的な補助など、多角的に考える必要がある。
最低賃金引き上げと同時に生産性を上げるような仕組み、つまり経営者も教育に力を注ぐ、労働者も努力するようにしていかなくてはいけませんね、として番組は終了。又吉さんのひとことポエムは『あの人が時給十万円の店員さんか』。
社員時代には、努力に見あう給料に!の旗の元“人事制度改革”なるものに振り回されていましたが、早期退職してすっかり遠い国のお話になっておりました。しかし、実績によって時給がアップダウンなんて話に触れると、じわじわ蘇ってまいりました。ですが、これからの私の働く場所は、時給単価の高めな社員ではなく、パートかアルバイトですので今回の賃金話は切実です。月2回以上ハローワークで求人情報を見ますと、最低賃金800円未満もありましたね。身体が許せば、一日3〜4時間なら立ち仕事も大丈夫かと思いますが、いろんな職種を体験させて貰えたらと思っています。
日々感謝です。