今日も、生涯の一日なり

自分軸で生きると決め早期退職した50代独女のつぶやき

《人生棚卸》着物にまつわる迷走ぶり

こんにちわ、SUMIKICHIです。

人生棚卸のお時間です。

先日、人生初の着物の虫干し、いえ、土用干しをしたので、ついでに着物にまつわる迷走ぶりを勝手に振り返ってみようと思います。商品紹介のように美しくディスプレイしていない写真で申し訳ございません。本当に紹介する気があるのか!

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着物は、着付けを習い始めた30歳前後から、海外旅行やブランド品にお金を使わない代わりに少しずつ買い足していった。別に、きもの大好き!というわけではなかったが、着付け教室で勧められたのがきっかけだった。

着付けは、他界した母が習っていて道具があったし、数は少ないけれど母が残してくれた着物をひとりで着れると楽しいかなと軽い気持ちで始めた。でも、今振り返るとそれだけじゃないような気がする。

母が着付け教室に行き始めたのは、私が大学に入って間もなくだったかな。教室は土曜日だったので、私が車で送迎していた。なぜ始めたのか詳しくは覚えてないが、家の経済状態が少し安定してきたのと着物が好きということだろうが、おそらく、私の成人式や卒業式、謝恩会に、母が自分で用意した娘の着物を、自分で着付けたかったのかなと勝手に思っている。着物に想いを馳せる時、もれなく付いてくる苦い思い出がひとつある。

 

母「成人式は振袖がいい?卒業式はどうする?どんな振袖がええかね。」

私「振袖ぇーっ!?そんな贅沢な!うちにそんな余裕ないじゃん、いいよ、いいよ、振袖嫌いだし似合わんし。成人式は、唯一あるこの前作ってくれた訪問着で、成人式は無地の鮫小紋に袴レンタルで。洋服でもいいくらいなのに。」

母「振袖は、ほんまにええんじゃね・・・。」

私「いいって、無理しなくても。うちに訪問着と小紋があるのがスゴイよ。」

その時は、家の家計を思い、効率的運営による選択と集中っていうやつですか、良かれと思って決めたつもりなので何とも思わなかった。しかし、歳を重ねるうちに、あの時母は何を想ったのだろう?なぜあんなに念押ししたのだろう?私がやせ我慢してると?いや、実は、私は母を傷つけたのではないだろうか。本当は、高級品じゃなくても用意できるへそくりは貯めていたのに、それが楽しみだったのに、その気持ちを踏みにじったのではないだろうか。きっと、そうに違いない。他界してしまった今となっては謝ることもできない。このコトを思い出すと、涙がひとすじ流れる。いや、着物を見たり、着たりする時はずっと脳裏に浮かぶ。

これらの背景が、私を着付け教室へと足を運ばせたのかもしれない。

 

ちなみに以下の写真が、母の保管していた仕付け糸が解かれていないままの着物たち。昭和のものなので古めかしいけれど、私は大好きだ、古過ぎて。この歳になって柄的に着る機会を逸したかもしれないけれど、家で気合で着ようと思う。母のセンスは全体的に好きだ。派手かなと思うものも、地味で普通と思うものも、じーっと見ていると実は細かい所が丁寧で個性的で、じわじわ良くなる。それに、私のことをよく見てて(そりゃ、自分の娘ですもんね)、母の見立てのものを身につけてると不思議と私に合ってる。赤よりローズ色の方が似合うとか。歳を重ねてわかるようになった。

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 ↑少し渋めに染め直した訪問着 着ていない

 

着付けを習い始めて自分で買ったものは、母と違って、地味派手ばかりを追っていた。↓とても30代が選ぶ感じじゃないですよね。

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                     ↑帯も考えなしに、派手

f:id:sumikichi52:20160725095258j:plain ←適当に選んで似た感じ

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40代後半で知り合った呉服屋のお年を召された女主人に、着物の揃え方を間違っているとお叱りをうけた。母が亡くなってから自分で好き勝手に選んでいたので、趣味性の強いものばかり。その女主人に母の揃えていたお洒落着、つまり小紋とかをお見せしたところ、「おなたのお母様は、古いけどいい物選んでらっしゃるわ。決して高級品というわけではないけれど、センスいいし、あなたに似合うものばかり。それに、総縮緬のこれなんか今の時代、手間ばかりかかって売れないから、どこを探してもないわよ。大切に着なさい。それに引き替えあなたの選択眼は・・・うんぬんかんぬん(お説教)」大事な客にそこまでおっしゃる?という感じだったが、お上手もなく逆に親切だなと思った。いや、けなしておいて商品を勧めるパターン?

母の実家は兄弟8人で、母は若い頃から、少ないお給料をやりくりして、身の丈に合った好みの着物を買い足していたそうだ。だったら、もっとたくさんあるんじゃないの?と思ったが、どうやら、結婚を機に親戚の女性達に、ほとんど分け与えていたようだ。なんと気前の良いことで。

たんまり、お叱りを受けた後、全ての着物に合う素敵な帯をひとつ選んで下さり、もう着物は買わなくていいからと軌道修正してくれた。それまでは、この着物にはこの帯、あれにはあれ、と全く別の組み合わせが出来なくて困っていたのだ。それが、選んでもらった一つの帯で全ての着物が着まわせるのがわかり、モヤモヤが晴れた。下の写真で向かって左端の帯。

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写真ではわかり辛いが、本当に気に入ったものだ。以前の私なら決して選ばなかった感じで、派手ではなくて大人しい雰囲気なのだが、着物と組み合わせたり、身につけたりすると質素だけどしっとりと着物を引き立ててくれる。食器と料理の関係にもあるかな、盛り付けて活きる食器とか。こういうことか、なるほど。

 

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 ↑両方50歳手前で購入  左は、一つ紋入りで日光が当たると海老茶か赤紫か玉虫色になる

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これからは、着物なんて買えないけれど、今あるもので十分です。断捨離で、カビやしみだらけ、若すぎるものは処分しました。ですが、母の着物は、若すぎて着れなくても、しみがあっても処分しません。断捨離対象外で、ここは執着してます。

正直に申しますと、着付け講師免許もあるし、着物も多少持っておりますが、未だに着物の決まり事を理解出来ておりません。組み合わせも自分ではどうして良いのか自信がなく、毎度今でもお付き合いのある、もと着付けの先生に確認しております。とほほ。ご安心下さい、決して着付け講師の仕事は致しませんので。

生活サイクルが安定して気持ちに余裕が出来たら、着物でおでかけしようと思います。嘲笑されながらも、私はこんな感じで着ちゃいました!記事を書ければいいな。

ここまでくるのに長い歳月がかかりましたが、まだまだこれからです。感謝です。

皆さんは、着物、お好きですか?