昨日市民演劇公演無事終わり、本日ケーブル回線切断につきしばし音のない世界で・・。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
只今午後7時過ぎ。昨日、無事我が劇団の公演が終わりましてホッとしております。
舞台は、午後2時から一時間程度、台詞は一部余計な単語が入ってしまいましたが、練習中のときほどひどい事にはなりませんでしたので、本当にホッとしております。そして、放心状態でございます。本番中の写真は撮れていないのが残念ですが、私たちの劇団の公演前はちびっこミュージカルでしたので、会場の雰囲気だけでも備忘録しときましょ。
三つの団体を足して観客の発表数字は200名らしいですが、私たちの公演の観客数は40〜50名といったところでしょうか。ご年配の方々がほとんど。
地元ネタ(加計の鮎最中とか可部のかりんと饅頭、ゆあさの二重焼きなど)が散りばめられていますので、結構笑いを頂戴しておりました。
とにかく、台詞を忘れて流れを止めるようなことはありませんでしたので、演技力がどうのこうのよりも、だだそれだけでも御の字です。全員揃ってのリハーサルが出来ていないのにもかかわらず、です。そして、練習期間中、あんなにモヤモヤしていた気分がどこ吹く風です、ホント人間ってやつは。
しかし、今回は(も)、色々勉強になりました。芝居を面白くしようと思ってやってたつもりが、間違った方向に向かっていたのに気づきましたし。団体で作り上げていくものは、各々が勝手によかれと思ってオーバーに芝居をしていたら収集つかなくなり、リズムも狂うので、与えられた台詞をきちんと素直なリズムで話し息をあわせてこそ、脚本が生きるんですよね。つくづく、自分は‘我’が強いってことを再認識いたしましたとさ。決して目立ちたがり屋ではございませんよ。
そして、観客のみなさんがクスッと笑うところが、予想外の台詞だったりしますので、どの台詞も話もおろそかにはできないということも再認識。今頃?って感じ。
この年齢になりますと、本番前と最中の緊張感、心臓のドクドク感は身体によくないですね、ホント。楽しさを通り越して自虐空間ですね。しばらくしたら、またやりまっす!ってなるかしら?ならない気が、今はします。
嬉しかったことを少し。
夜の芝居の練習の帰り、年下のメンバー女子をいつも車で送ってあげていましたら、ある日の帰り道「これを受け取って下さい、いつも送って頂いて・・ありがとうございます。たいしたものではないんですけど・・」と車を降りる間際に頂戴いたしました。
同じ方向なので全くお世話してるつもりないのに、返って気を遣わせてしまったなぁと思いましたが、彼女が言うには、人から親切にして頂いたら感謝の気持ちをお伝えしなさいといつも母から厳しく言われているので、とのこと。なるほど、彼女の几帳面さはそんなところから生まれてるのですねと頭が下がりました。実は、私は断捨離でヒラヒラのハンカチは処分しましたので、いつもタオルハンカチを使用してて、ある時、正装した際、あららぁーヒラヒラハンカチを残しておけばと思っていたところでしたので、とっても有難かったのです。彼女は私がいつもタオルハンカチを使っているのをチラッと見ていて一瞬迷ったようですが、ならばハンカチにしてみようと決めたみたいです。重ねて、頭が下がります。
もうひとつ。メンバー女子から、鮎最中のお返しにと、自身のお気に入り店のジャムをくれました。
トーストにつけて食べるのに丁度良かった、と大喜びの私でございます。大切に食したいと思います。
最後に、公演終了後、たまに出張ランチしてくれる後輩女子宅に立ち寄らせてもらった際、なんと小さな花束(ブーケっていう?)を頂戴しました。
ここ当分、いえ、ずっと長い間、自宅に花がございませんでしたので、これまた心が華やぎました。なんだか、素敵なこともございますね。それにしても、こんなにブーケの写真を載せなくてもいいですよねぇ。
そんなこんなでいい気分でしたのに、本日の朝、ケーブルテレビ回線がなにやら調子がおかしく、TVも電話もネットも見れず情報から遮断されてしまったのです。まぁ・・しゃーないか、とケーブルTVに連絡だけはして、伸ばし伸ばしにしていました確定申告に再挑戦。
保険会社から退職金の源泉徴収が届きましたし、もうすぐ締切ですから。税務署に出かけ、大混雑の中待つこと一時間で申告をすませ帰宅。
それから、作業員さんが来られるまでの約5時間、しーんとした空間で散らかった部屋をゴソゴソ片付け(さほど綺麗にならず)、同録観たり・・結構楽しいもんでございました。忘れていたこんな静かな時間。たまにはいっか。
芝居活動もひと段落・・さぁ、次は歌うたい活動!明日は先輩男子と島でのライブ(お客様はいらっしゃらないかも)の音合わせをいたします。あまり歌いこんでいないのでトホホでございます。まぁ、楽しんで!
日々感謝です。
Eテレ「まる得マガジン〜マインドフルネス・第3回自己主張ストレッチ〜」を観て。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
“ストレス社会と言われて久しい現代。怒りや不安、悩みなどと上手くつき合っていくためにはいったいどうしたらいいのか。そこで、心を今に向けるマインドフルネスを始め、身体をリラックスさせたり、行動を見直したりして、ストレスに対処する方法を紹介”という番宣(5分番組)を拝見し、8回放送のうち6回分(2回分見逃し)を観ました。ざっくり備忘録しときましょ。
ストレスに負けない心のストレッチ
初めてのマインドフルネス
日頃、人に言いたいことが言えなくてストレスが溜まったことない?グループでいると、全然興味ないところでも“いいね、いいね”とまわりが言えば自分も言って、興味ないと言えなかったり。そうすると、だんだん嫌になってくる。
そこで今回は・・・言いたいことが伝えられる自分になるための練習
帰宅して、その日の夜にでも試してみる。
できるだけ毅然とした表情で。鏡に向かってなので気楽。この練習を繰り返していくと、だんだん思ったことが言えるようになるらしい。そうなると、ストレス、不安、緊張が日頃から溜まらなくなってくるということがわかっているそうだ。
また苦手な相手の場合にも
「その仕事は私のやることではありません」と、鏡の前なので毅然と言いやすい。実際に相手に伝えてみると、あれっ?自分の意見が通ったな、とか、意外と怒らなかったなと感じられることもある。
この他、話しやすい状況を選ぶのも重要。大切な話は食事をしながらだとリラックスして話しやすくなる。ストレスが溜まらなくなると心のストレッチになってほぐれてくるので試してみよう。
たった5分の番組ですが、ふーん、簡単だなぁ、やってみましょとトライしてみました。丁度芝居の稽古期間で、モヤモヤすることもございますし。鏡でシワシワの自分の顔を見て話すのは、誰も見てないとはいえ、ちょっと恥ずかしゅうございましたが、慣れると少し気持ちがすっきりしますね。感情にまかせて喧嘩腰にではなく、冷静に真顔できちんとやった方が良さそうですね。私は、つい、笑いながら、茶化しながら言ったりするんですよね。すると、相手も冗談めかして返してくるから余計疑心暗鬼になりますよね。でも、個人的には、なんでもかんでも自分の意見を言うのが良いとは思っていませんのでTPOをわきまえて実行できるようになるといいのかなと思っております。
日々感謝です。
市民劇団公演、いよいよ明日本番!鮎最中も準備万端!
こんにちわ、SUMIKICHIです。
年明けから練習してきた市民劇団公演が明日に迫ってまいりました。
昨日劇用の小物を買いに山間地の商店街(と言ってよいのかな)まで車でひとっ走り。家から1時間位かしら。日中は絶好のドライブ日和でとても気分最高!
途中、私の近所ではみかけない紅色の梅?が目に入り、パパッと撮っておきました。
広島の安芸太田町の加計に到着。
知る人ぞ知る「ヨコタ製菓」。団長が地元を題材にした脚本を書くために、以前県内の名産品を調べた際に見つけて以来、たびだび劇中に登場しております。特に、鮎最中がお気に入りで、中の白あんがほんのり甘くてとても美味。おじい様とおばあ様、お二人で細々とお店を営んでらっしゃいます。
スタッフ分たんまり購入しほくほく気分の帰路、素敵なお店が目に入りカフェタイム。可部の国道191号線沿いにございます。
店内こんな感じ。窓際の席からはこんな風景が眺められます。春や秋はもっと素敵でしょう。
なんと、珈琲はサイフォンごとテーブルに。まろやかな味で美味しかったぁ。
そして、夜。お芝居の練習。なかなか全員揃いませんが、楽しくやっております。早速買ってきた小物を使って。
メンバーが私の練習風景をこっそり撮ってくれてました。普段、自身を撮れないので嬉しゅうございます。私の役は、元気なおばさん事務員ですので、その雰囲気に合わせたアングルが面白くて、勉強になります。本日は夜からまた会場でリハーサル。本番の舞台に立つと、照明(簡易だけど)が入ると気分がかわって緊張するんですよね・・。よし、あと二日で演劇生活終了、ふぁいと!お客様に楽しんで頂けますよーに。
日々感謝です。
図書館で借りた書籍記録⑬
こんにちわ、SUMIKICHIです。
私の記録用。今回は、この7冊。今回はわりと統一感ございます。早期退職して9ヶ月、会社員時代には知らなかったNHK番組を観るようになり、いろいろ刺激を受けておりまして、これまで敷居が高くて敬遠してました詩の世界に浸ってみたいということでしょうか。
とは申しましても、成人対象用ですと、以前お借りした中原中也さんのように挫折しますので、小学生対象の詩集シリーズから選びました(前回の谷川俊太郎さんと金子みすゝさんも小学生対象用)。以下の二冊はある番組で出てました詩人。おさらいの意味で。
以下三冊もおさらい、ですかね。
電車は利用しませんが。
詩集ではないけど、興味深かったので。
日々感謝です。
Eテレ「100分de名著 宮沢賢治スペシャル・第1回〜自然からもらってきた物語」を観て。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
すっかりレギュラー視聴するようになったEテレ「100分de名著」。今月は、「銀河鉄道の夜」「春と修羅」などの作品で今も多くの人に愛される宮沢賢治スペシャル。代表作を絞るのも難しいほど多面的な作品群に4つのテーマから光を当て、宮沢賢治の奥深い世界に迫る、という内容のようです。
最近よくTVやネットでお名前を目にしますが、お恥ずかしながら個人的には「注文の多い料理店」を幼い頃読んだだけでしょうか。近いうち「銀河鉄道の夜」をしっかり読んでみたいと思っていましたので、丁度タイミング良かったと喜んでおります。ざっくり備忘録しときましょ。
まず、宮沢賢治さんの経歴紹介。
明治29年岩手県花巻に生まれる
中学生の頃から短歌作りを始める
岩手で土壌研究員、農学校教師、農業技師などをしながら詩、童話を書く
昭和8年 肺炎により死去(37歳)
生前はほぼ無名。童話で原稿料が出たのは一作だけ。当時のお金で5円(4,500円)。没後作品が発掘され有名になる。
今回の指南役は、日本大学芸術学部教授の山下聖美さん。ゼミの学生と作品が生まれた花巻をたびたび訪れ、新世代ならではの視点で宮沢賢治の実像に迫る研究者。
現在復刻版は2冊。本物は買うと200万は下らないとか。生前は一般には理解されにくい内容のため売れず、古本・古書市場で極めて安い価格で売られる“ゾッキ本”扱いだった。しかし、賢治は、家がお金持ちだったので物書きで食べていくつもりはなたったよう。
しかし、一部の人には、東北岩手にすごく変わった詩人がいると知られており、特に草野心平や中原中也などは賢治の本に大きな衝撃を受けていた。
草野心平が賢治についてある言葉を残している。
日本の近代文学史には、東大出身など頭の良い作家、夏目漱石や森鴎外などがいるが、秀才には違いないであろう賢治は、そういうのを超越した特別な感性を持った存在だったのでは、と山下先生は言う。
特異な感性はどうやって育まれたのか?ある物語の序文にそれをあらわすところがある。
伊集院さんは、序文を読んだだけでなぜか、評価しづらいのがわかる気がすると感想を話す。
出版当時、花巻の農学校の教師をしていた賢治は、岩手の山野を歩き回るのが日課だった。植物や動物、土、風、雨、雪・・岩手の豊かな自然からエネルギーをキャッチしてただ書く、書かされているだけだと、しつこく賢治は言っていたそう。賢治の創作方法は一風変わっていて、手帳やペンなどを首からぶらさげて外に飛び出していた。内から湧き上がってくるのではなく、降りてきたものを書く。
ところで、最近では、“共感覚”というキーワードで賢治の特殊な感性にアプローチしていく研究がされている。“共感覚”とは、一つの刺激に対して二つ以上の感覚(五感)が反応してしまうことをいう。色やカタチを目で見て、色が聴こえたとか色が匂うとか。誰で三歳頃までは持っていたとか。芸術家はそういう感性を利用して作品を残している。
伊集院さんは、“共感覚”のない自分でも、むかし‘風を食べよう’と思ってたし、どきどきする、俺は何か大切なものを失くしたってことに気づかされる、と話す。
そんな賢治の感性を存分に味わえるのが「イーハトーボ農学校の春」
文章が始まったかと思いきや、段落と段落の間に楽譜が入って(写真中の♪部分は実は楽譜)いたりする。これは、当時の人たちが戸惑うのもわかる、掟やぶり、果たして詩なのか、文学なのか、こういうふうに頭の中で鳴ったのを報告したいってことですかね、と伊集院さんはあ然とする。
山下先生は、賢治の感性では、春の太陽の光が音として感じられている、ジャンルとかを越えていく、絵も描くし、曲も作る、全てふくめて文学に昇華していくのが賢治の特徴、ストーリーやオチは関係なく、だからどうした、どこで感動したらいいの?なんなんだって時に、それを理解しようとするのではなく感じるだけ、そんな読み方をしよう、と解説。
さらに、賢治は、もともと理系の人で、熱心な法華経の信仰者なので、“光炎菩薩”などの仏教用語やコロナなど科学用語を包括して芸術を作り出している。
さて、他にも特徴がある。「風」が童話に吹く。
賢治の場合、「風」が吹くと異界が現れ、あやしい世界が動いて行く。「注文の多い料理店」でも、風が吹くとあやしい店が出てくる。風というのは何か得体のしれない息吹、命として賢治がキャッチしていたのではないかと山下先生は分析する。
伊集院さんは、‘風向きが変わった’という言葉もあり、説得力あると話す。
私たちが発する言葉も、まず息を吐く。物語の中で、吹いていた風が人間の言葉に聞こえてそれを記録したと出ていたが、言葉と風のつながりも描いていたのかもしれない。
最後に、山下先生は賢治の魅力を以下のように話す。
「注文の多い料理店」で、“山がすごいから”山猫が泡を吹いて倒れて、その後また復活して・・まぁ、童話だからと読み過ごすよりも、“山がものすごい”ってなに?って、いちいち立ち止まると、ものすごいものが見えてくる、自分のわからなさを解釈したくてたまらないって欲求を持つ方が多い。
伊集院さん、考える楽しさがよくわかりました、先生がこのなぞにハマっていくのも、とひとこと。
続く・・。
今回は、朗読の尺が長かったように思います。たしかに、物語(賢治)の特異性を端的に抜粋するのは至難の業ですね。私もかなり大雑把に抜粋してしまいまして、なんのこっちゃか不明状態。まぁ、個人の備忘録なんでお許しを。
ここまで深く存じ上げていない宮沢賢治さん。よく演劇の台本に用いられていますよね。これまで、なぜなんでしょう?と不思議でしたが、最近ほんの少しわかり始めてたところで、シリーズ全編観たらもっとはっきり見えてくるのかしら。声に出して読むと不思議な世界がひろがりますよね、たしかに、言われてみれば。
だいぶ前ですが、オリラジ・中田さんが民放TV番組で「銀河鉄道の夜」の解説をしてまして、ちょっと感動といいますか、興味津々で図書館に予約したような気がします。ん?その本、どうなってるんでしょ?
また、少し前にこの番組で勉強した中原中也さんが賢治さんに衝撃を受けたというのを知り、つながってる感半端ないです。どうりでって感じ。物知りでしょ、私って気はさらさらないのですが、少しずーついろんな事柄がつながり、積み重ねる行為の尊さを噛みしめております。全く社会貢献してませんけどね。
日々感謝です。
今朝、モヤモヤ気分を一掃してくれたモノ。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
昨日に引き続き、今朝も雪がハラハラと舞っておりました。こちら西日本の比較的温暖な地域(市だけでみると奥地の田舎ですけど)ですのに、この時期にもなっても雪というのは、本当に何年ぶりでございましょうか。スタットレスタイヤの交換をしなくちゃと思っていますが・・まっ、それは大丈夫ですかしら。
それはさておき、早朝からブログ更新しましたのは、なんと!芽がとっても可愛くて、思わず写真撮って・・それで。あっ、観葉植物たちの芽なんですけど。最近、いろんな事で忙しく、心に余裕がなかったのかすべてを大雑把にやり過ごしていたのでしょうね、気づかなかったのでございます。
なんだか、モヤモヤするなぁーと思いながら、ふと、水やりの時、じーっと見て回りましたら、あらら!一瞬テンションあがりました。ひとり暮らしのモノトーンの空間が薄桃色に染まりました、ホントに。 相変わらず写真のピントが合ってないのですが記録、記録。
↑ 挿し木で育成中のアイビーの根元に芽が。ここから出るのを初めて見ました。
↑ 高さ50㎝位のチビシマトネリコ。スカスカ状態の中、柔らかそうな色合いの芽が。こんなカタチしてたんだぁ。生きてくれてるのね。
カポックからも
アラレアからも
水やりの間隔が空き過ぎてるのに、みんな頑張ってくれてるなぁー・・何だか嬉しくて元気を貰えました。
しかーし!洗濯物を室内干ししてる時に、タオルをパタンパタンしていたらパキラに当たって・・・ありゃーっ!
→
去年成長した部分がそのまま無かったことになってしまいました!つかの間の朝の一喜一憂でございました。とほほ。本日も素敵な一日になりますよう。
日々感謝です。
NHK「探検バクモン〜辞書〜」を観て。この方が「舟を編む」の・・。
こんにちわ、SUMIKICHIです。
滅多に観ることのないNHK「探検バクモン」ですが、日本一売れている中型辞書「広辞苑」の改訂現場を取材!というテーマに引かれて録画視聴いたしました。私、数年前に三浦しをんさんの著書「舟を編む」を読んでから“言葉”への向かい方が変わりましたので興味津々。生活には活かされてませんけどね。ざっくり備忘録しときましょ。
番組で取材したのは、岩波書店・辞典編集部。「舟を編む」の主人公のモデルになった平木靖成さん登場。「広辞苑」改訂責任者でこの道24年。
「広辞苑」は、初版は1955年に発刊、約10年に一度改訂され、最新刊は第6版(2008年)。累計1,100万部、中型では日本一の売上げ。掲載される言葉は、人名、地名、科学の言葉など幅広く、約24万語(3,000ページ)。
特徴として、“古い意味が最初に載り、順に新しい意味へ”となっている。例えば、【かわいい】だと、1番目は“いたわしい、ふびんだ、かわいそう”、3番目で“小さくて美しい”となる。なので、その昔に「君、かわいいね」と言われたら、「君、ふびんだね」という意味になる。
ここでクイズ!辞書に載せる前提で【右】を説明せよ!
答えは、“南を向いたとき、西にあたる方”。(爆笑問題・田中さん、正解!)
他の辞書では、“アナログ時計の文字盤に向かったときに、1時?5時までの表示のある側”(新解明国語辞典)や“この辞典を開いて読むとき、偶数ページのある方”(岩波国語)となっている。
【右】という言葉を調べる人はいないかもしれない、でも、もしその意味がふと気になってしまったら・・辞書とは言葉の森で迷ったとき、道しるべとなるべきもの。
しかし、言葉は時代とともに変わっていくため、約10年に一度改訂をし、辞書に載るすべての言葉を見直す。もし、イギリスとスコットランドが独立するかもしれないとなった場合、イギリスという言葉が含まれている項目1567件をスコットランドに直すかどうかひとつひとつ検討する。
その他に、【ミソサザイ】という鳥の絵と説明文が離れているので、近くに配置した場合、他の言葉の説明文を短くしたりして調整。
また、【チョウチョウウオ】という魚の“縦じま”について・・ある編集者は、自分から見ると“横じま”に見えるとお悩み中。
「コレ、変じゃないかなと思ったけど、基本的には体の線に沿っているのが“縦じま”なので、チョウチョウウオさんは横向きに泳いでいるから、魚からすると“縦じま”でいいのか・・」と。爆笑問題・田中さん、「阪神タイガースの“縦じま”ユニフォーム着た人が泳いだときは“横じま”、みたいなことですかね」とフォロー。
リスは木に登っているから“縦じま”、トラは“横じま”、シマウマは“横じま”・・。
辞書とは言葉の森の道しるべ、編集部員はたったひとつの言葉に過剰なまでに神経を使い、24万語を積み重ねている。頭がおかしくならないですか?の問いに、「楽しいですよ」と微笑む。ひぇ〜っ。
ところで、今の辞書のもとになるものが「玄海」著者・大槻文彦。明治24年(1891年)完成、3万9,103語収録。
ねこ【猫】 人家に飼う小さき獣、温柔にして馴れ易く、
また能く鼠を捕れば飼う。
然れども、窃盗の性あり。
かっぱ【河童】水陸両棲の動物にて、
形、三・四歳の童の如く。
面、虎に似て、身に鱗甲あり。
九州の山中の渓流に多いという。
詳ならず。
明治の人の暮らしや考え方が見えてくる。辞書というものは時代を映すもの。
さて、辞書改訂されるたびにニュースになることがある。≪新語≫だ。
言葉の線引き、選定基準は?
①数年先にも使われている
②その言葉がないと表現できない項目がある
【萌え】は、心がときめくとか好きだとかで“○○萌え”って使うのは知っているが、どういったものに対して萌えるのか、萌え方が様々で今でもわからないので見送りに。そのうちに消えるものか残るのか・・流行辞典ではないので一番に載せなくてもいいかと。
新語の数は?
耳や目ほ絶えず新語に向けて必死で集めると一年に1万語くらい集まり、10年で改訂なので10万語。その中から議論を尽くして1万語くらいに絞る。
今気になる新語は?
例えば、【iPS細胞】【アイフォン】【愛猫家】【アイプチ】エトセトラ・・・【アイドル歌手】は【アイドル】と【歌手】を引けばわかるのでないかなと。
言葉の辞典だから意味が書いてあればいいじゃないかと思うかもしれないが、その言葉を使ったときに込められた気持ち、ニュアンスがないと駄目じゃないかと思う、と編集者は語る。
例えば、【バツイチ】(第5版1998年に掲載)。“一度離婚経験があることを冗談めかして言う癖”と記されていて、‘一回離婚歴あるけど何でもないよ’というニュアンスを込めている。その微妙な違いに辞書は挑んでいる。
ここでクイズ!【独擅場】、なんて読む?
正しいのは「どくせんじょう」。が、“擅”を“壇”と間違えて「どくだんじょう」と読む人が増えたため、‘へん’も変わった。
辞書で【独擅場】を引くと、‘誤って【独壇場】ともいう’とある。【独壇場】も載っていて、‘“擅”誤読からできた言葉’となっている。
他にもこんな例がある。
続いて、辞書には欠かせない“紙質”。
文庫本に比べて価格が2倍。初版(2300ページ)から第6版(3000ページ)まで、厚さ8㎝は変わらない。人が片手で持てるサイズ。ということは当然、紙が薄くなっているということだが、不透明度はなんと82%。ページをめくるときに指に吸いつくあの“ぬめり感”が重要。もちろん紙同士はくっつかない。そんな紙を開発するまでに5年を要した。引きやすさは大切。
最後に、平木さんが広告代理店の方と話したときに想ったことを・・・深い言葉です。
代理店ですから、いろんな言葉を集めてらっしゃる、
でも、それらは
パッと咲いた花 とか 芽吹きしたばかりの芽 とか 散り始めた花粉とか
そういう言葉なのかなと・・
我々が集めてる言葉は
それが地面に降り積もって
土になって 腐葉土となって
次の日本語を育てる土壌になるものを
言葉として集めてるんだなと・・
今後の日本語を育てていくような広辞苑の使い方を
皆さんにしていただければいいなと。
毎度のようにダラダラ長い自分用の備忘録ですが、とっても興味深く面白かったですね。今はパソコンで何でも変換検索できるし、随分享受してきたけれど、もう一回一冊になっているモノの有難味、別の価値観を感じます。“面白い本を探しているなら、辞書も案外悪くない。ドラマチックなことは起きないけれど、そこには言葉のワンダーランドが広がっている”と言ってましたが、まさしくそうですね。
私、正直、大人になってたまに使っている辞書は、小学生のときにお世話になってた小型の国語辞典。と申しましても、そんなに引いてませんけど。あの“ぬめり感”は大好きです。今ではネット検索するようになりましたが、あの“ぬめり”を触りたくて辞書を引いてたのかも(小型はそこまでしゃないか)。ネットは知りたいことだけ知れる、でも、辞書は知りたい言葉以外の言葉も目につき、へぇーっとなる楽しみがございます。「広辞苑」、欲しい・・あと1〜2年で改訂版が出ますよね、楽しみにしておきましょ。きっとオブジェと化すに決まってますが。
日々感謝です。